こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トルク TORQUE

otello2004-10-22

トルク TORQUE

ポイント ★★
DATE 04/10/17
THEATER 109シネマズ港北
監督 ジョセフ・カーン
ナンバー 123
出演 マーティン・ヘンダーソン/アイス・キューブ/モーネイ・マザー/アダム・スコット/マット・シャルツィ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

猛スピードで疾走するバイクのスピードをいかに体感させるか。この映画のテーマはその一点にあり、ストーリーなど付け足しに過ぎない。明確に割り切ったおかげで全編アドレナリン噴出、観客はひたすら疾走感に酔う。しかし残念なことに特殊効果に頼りすぎたせいで、実際のスピード感というよりゲーセンのマシンに乗っているような薄っぺらい臨場感しか得られなかった。もう少しバイクに関する知識があれば違っていたかもしれないが・・・。

東南アジア放浪の旅から戻ってきたフォードは恋人・シェインのもとを訪れる。フォードは麻薬取引のトラブルでギャングとFBIに終われる身。そんな時、黒人暴走族グループのメンバーが殺され、フォードに疑いがかけられる。フォードはバイクの運転技術だけを頼りに陰謀を暴いていく。

バイクという開放した運転席を持つ乗り物のおかげで、様々な新しいアクションが演じられている。並走しながらの殴り合いは言うに及ばす、まわし蹴り、前輪ウィリーして後輪で攻撃したり、果てはバイク上でバク転して追走するライダーにキックを見舞うという芸当まで見せてくれる。また、走行中の列車の屋根に飛び乗ってのバイクチェイスなどアイデアは豊富だ。それらのシーンはそれなりに見せ場ではあるのだが、元ネタは「MI:2」だったり「マトリックス・リローデッド」だったりとクリエイティビティには著しく欠ける。高速道路でのチェイスはまるで「マト・リロ」そのものだ。

この手の作品はあまり特殊効果に頼らず、やはりスピードを体感できるようなカメラワークで撮るべきだろう。登場人物がいくら肉体的な暴走ライダーを気取っても、映像からはワイルドな男の体臭が全然伝わって来ない。キャスト・スタッフが現場で汗を流して撮影したというより、CGアニメーターがコンピューターの前に座って画像合成したというのがよくわかる映画だ。そしてそんな作品からは感動は生まれない。


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