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ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

otello2005-03-24

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月
BRIDGET JONES:THE EDGE OF REASON

ポイント ★★★
DATE 05/1/24
THEATER UIP
監督 ビーバン・キドロン
ナンバー 13
出演 レニー・ゼルウィガー/コリン・ファース/ヒュー・グラント
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


恋する女はきれいになる。なのにヒロイン・ブリジットはいちだんと体重を増したようだ。やはり「きれいになって男の気を引こう」と思うのは相手の気持ちを確かめるまで。恋が成就してしまうと安心して気が緩み体の線も弛むのだ。そんな女のリアリティを出すために、前作以上に顔・首・ウエスト・お尻とはちきれんばかりに脂肪を付けてこの役にかけるレニー・ゼルウィガーのプロ意識が素晴らしい。


マークと付き合いだして幸せいっぱいのブリジットは相変わらずTVレポーターの仕事ではドジばかり。しかしそのドジぶりが視聴者にウケ、新たな番組を任される。その仕事のパートナーがなんと以前の勤務先で口説かれた事のあるダニエル。一方、マークとは些細なことから喧嘩別れしてしまい、シングルに戻ったブリジットはダニエルとともにタイのビーチにアブナイ取材に出かける。


前作同様ブリジットの日常のディテールを描くことがこの作品の命。自分の恋人のことを話題にするときは必ず「国際人権派弁護士」と枕詞を付けたり、マドンナのトリビアに詳しかったり。そして何より、多少の自己嫌悪はあるものの、ブリジットは自分自身を決して否定しない。セリフの端々にその前向きな気持ちが込められていて、太い足も早とちりもみんな自分の一部だから受け入れようという自己肯定。その考えが作品の底流にあるおかげで、下品なコメディになる一歩手前で踏み留まっている。


結局、タイで麻薬不法所持の嫌疑をかけられたブリジットはマークの懸命な働きで釈放され、マークの気持ちに気づいたブリジットは自分に正直なる。ここでも自動車に水をかけられたり、恋敵と思っていた女性がレズだったりと、ベタな笑いを取ろうとするシーンが多くしつこく感じた。前作に引き続き誇張があるにせよこれが「等身大の30女」なのだろうが、男性が独身女性に抱いている幻想を見事に打ち砕いてくれる。


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