こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

世界で一番パパが好き!

otello2005-04-01

世界で一番パパが好き! JERSEY GIRL


ポイント ★★★
DATE 05/3/26
THEATER ワーナーマイカルつきみ野
監督 ケヴィン・スミス
ナンバー 38
出演 ベン・アフレック/リヴ・タイラー/ラクエル・カストロ/ジョージ・カーリン/ジェニファー・ロペス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


父親が娘のために自分の人生を犠牲にすることができるか。実際にそのような選択をする父親がほとんどいないからこそ、ファンタジーとして成立するのだろう。NYのやり手宣伝マン。妻は美人編集者。セントラルパーク沿いのアパートに住み仕事とパーティに明け暮れる、今や死語になったが絵に描いたようなヤッピー。娘の出産で妻が命を落とし乳飲み子だけが残された時、男はどんな行動を取るか。彼の選択は身につまされる。


出産で妻を無くしたオリーは乳飲み子のガーディを抱え意気地ノイローゼ気味になり、ついにプレスの前でキレてしまい仕事を失う。そして7年、父の住むニュージャージーに戻り肉体労働者として働く傍らガーディを育てていたが、ビデオショップでマヤという美しい女性と出会う。


オリーの姿を通じて片親が子育てをすることの厳しい現実を突きつける。ミルク、オムツ、夜泣き。一方で仕事に対する情熱も冷めていない。女性は9ヶ月かけてゆっくりと体内で命を育てているうちに親としての自覚が芽生えるのだろうが、男性は出産・育児は妻がやるものと決め付け、ほとんど心の準備ができていない。突然、子育てと仕事の両立を迫られた時の戸惑い。そんな父親の焦りと混乱をベン・アフレックはコミカルに演じる。特に仕事に生きてきた彼が自分の娘を呪いたくなる気持ちはよくわかる。


しかし、マヤというキャラクターは不要だった。出会いから交際、ガーディとの交流などうそ臭く、また説教くさい。父娘が力を合わせてけなげに生きる姿を見守るというポジションならよいが、家庭にまで踏み込んで彼らの事情に入り込むのだ。そしてガーディの学芸会で歌う始末。別に美人女優を無理やりキャスティングしなくても、少女を演じたラクエル・カストロのくりっとした大きな目だけで十分に楽しめた。それにしてもマンハッタンとニュージャージー、川を挟んだだけなのに時間の流れがこれほどまでに違うとは。。。


他の新作を見る