こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

恋は五・七・五!

otello2005-04-06

恋は五・七・五!


ポイント ★★★*
DATE 05/4/1
THEATER シネ・アミューズ
監督 荻上直子
ナンバー 41
出演 関めぐみ/小林きな子/蓮沼茜/橋爪遼/細山田隆人
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


無気力な学生に対して勉強する代わりに何らかの課題を出し、最初は嫌がっていたのにいつしかのめりこむ。何度も繰り返し使い古されてきたパターンで、少し前ならそれがスポーツだったのに最近の傾向はロボットだったりジャズだったり。この作品のテーマはなんと俳句。抜けるような空と青い海をバックに高校生たちは17文字に青春の思いを込める。


田舎の高校に馴染めない帰国子女の治子は夏休みの補習の代わりに俳句部に参加する。そこには治子のほかにも強制的に集められたメンバーが、「俳句甲子園」を目指して練習中。ほとんどまともな句が作れないまま大会に臨んだメンバーは初戦で惨敗。しかし、楽しんで句を詠むということを身につけて敗者復活戦に臨む。


ストーリー自体はごくありきたり。だからこそ高校生たちのキャラクターや何気ないセリフなどのディテールでセンスを見せなければならない。たとえば「切れ字」を「切れ痔」と勘違いするという一つ間違えれば引いてしまいそうなベタなギャグも、しつこくなりすぎない程度に料理されている。若さと時間だけはあり余っている高校生たちをあくまでライトなタッチでとらえていて、予想通りの展開も肩の力を抜いて安心して見ていられる。コメディの作り方の作法をきちんと踏まえているところに好感が持てた。


ただ、彼らが俳句甲子園の全国大会で優勝してしまうという結末には首をひねる。俳句の基本も知らない連中がいかに楽しい気分を読んだ句を披露しても、素人がいきなり優勝などしては世の中をなめきってしまうではないか。ここは敗者復活戦で勝ったところで俳句の楽しさにのめりこむという程度で抑えておかないと、「俳句甲子園」という実在の大会に対して失礼だろう。また、クライマックスの試合のシーンが少々長くだれてしまう。このあたりの甘さをもう少しツメれば、スパイスの効いた作品になっていたはずだ。


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