こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

コンスタンティン

otello2005-04-22

コンスタンティン CONSTANTINE


ポイント ★
DATE 05/4/17
THEATER ワーナーマイカル新百合ヶ丘
監督 フランシス・ローレンス
ナンバー 48
出演 キアヌ・リーブス/レイチェル・ワイズ/シア・ラブーフ/ティルダ・スウィントン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


悪魔祓い師が少女の肉体に取り付いた悪魔を取り除いたかと思うと、天国と地獄・神と悪魔の善悪二元論。なぜ今更こんな手垢のついたような題材を持ち出してきたのか。神がデザインした世界や運命に対して牙をむく主人公がキアヌ・リーブスが演じると、コンピューターが支配する仮想現実からの解放を描く彼の代表作「マトリックス」とどうしてもイメージがダブるのだ。しかも、出来の悪い自己パロディのような後味の悪さ。幻想的で退廃的な映像を大量に織り込むことで違いを出そうとあがけばあがくほど、空回りのスピードは加速する。


悪魔祓い師・コンスタンティンは地獄から悪魔が人間界に進出するということを知り、仲間とともに対策を練る。そんな時、霊感の強い女刑事アンジェラと知り合い、力を合わせて悪魔の降臨を防ごうとする。


だいたい神と悪魔といったキリスト教的な価値観を、いまだに絶対的な真理と信じている人間がいるのだろうか。敬虔な信者でもまともな大人なら信仰は信仰、現実に天国や地獄が存在するとは信じてはいまい。それを、大上段から肯定するところからこの映画は始まる。何という時代錯誤だろうか。主人公の男女は強すぎる霊感のせいである種のスピリチュアルなものが見えるというのは許せるが、それが醜い悪魔の手先だったり羽の生えた天使だったり。それが何らかのメタファーや象徴として使われているのならまだしも、悪魔と天使そのものなのだ。もはやとても素面では見ていられない。


結局、悪魔の降臨も神の計画の一部と知ったコンスタンティンは、その陰謀をつぶすために天使を倒す。これじゃまるで気が抜けてぬるくなったコーラのような「マトリックス」だ。コンスタンティンがネオ、アンジェラがトリニティ、神がアーキテクト。エージェント・スミスにあたる強力な敵役がいない分、見どころも希薄で物語りに深みもない。まあ、喫煙が健康に及ぼす害を喧伝し、最後にコンスタンティンが禁煙したことだけは評価できるが。。。



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