こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スターウォーズ エピソード3

otello2005-06-29

スターウォーズ エピソード3 STAR WARS:EPSODE3


ポイント ★★★★
DATE 05/6/24
THEATER ワーナーマイカルつきみ野
監督 ジョージ・ルーカス
ナンバー 77
出演 ユアン・マクレガー/ナタリー・ポートマン/ヘイデン・クリスチャンセン/サミュエル・L・ジャクソン//
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


才気あふれる若者を冷遇し遠ざける老人連中。ヨーダやメース・ウィンドゥをはじめとするジェダイ評議会の連中はもはや旧世代の抵抗勢力だ。パルパティーンの陰謀を見抜けなかっただけでなく、最優秀の人材まで奪われる始末。権威の上に胡坐を組み、自己改革を怠ったツケが回ってきたとしか思えない。善悪の彼我があいまいになっている21世紀においては必ずしも共和国=善、帝国=悪という等式は成り立たない。銀河をまとめるという目的のためなら手を汚し血を流すこともいとわないパルパティーンこそが、明確なビジョンを持った優れたリーダーに思えてくる。


通商連合に誘拐されたパルパティーンを奪還したオビ・ワンとアナキンは共和国の英雄となる。一方でクローン兵とともに通商連合討伐に向かったジェダイは先々で裏切りに会い殺される。ヨーダとオビ・ワン以外のジェダイを抹殺したパルパティーンは共和国を掌握し皇帝となる。その間、アナキンはパルパティーンによって暗黒面に引きずり込まれ、オビ・ワンとの一騎打ちに赴く。


ジェダイの道徳やらフォースの善悪といった禅問答より、ヘッドハンティングというわかりやすい事象をテーマにしたことが物語に親しみを持たせている。きちんと結果を出しているのにジェダイ評議会に認めてもらえず不満を抱えているアナキン。敵対する組織がそんな気持ちを理解し勇気付けてくれる。しかも死ぬ運命にある最愛の妻の命を救う方法まで教えてくれる上に、大幹部として大きな仕事を任せてもらえる。まさに正当に評価されていない優秀な人材を敵対組織から引き抜く時のハウツーだ。


しかもオビ・ワンはアナキンの両足と左腕を奪った上に全身を焼くという制裁を加え、さらにアナキンの子供たちを奪って隠した上に、将来アナキンと戦わせるのだ。ジェダイのほうこそよほど姑息でやり方はヤクザ顔負けでははないか。混迷を深める現代、聖人面しているやつらこそ疑ってかかれということだろう。超人的なフォースの力を持っていても人間としての煩悩をもち、苦悩にさいなまれるからこそアナキンは魅力的なのだ。最先端の視覚・音響効果だけではなくきちんと登場人物の感情が描かれているところがこの作品を魅力的なものにしている。


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