こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

千年湖

otello2005-08-15

千年湖

ポイント ★★
DATE 05/8/13
THEATER シブヤ・シネマ・ソサエティ
監督 イ・グァンフン
ナンバー 98
出演 チョン・ジュノ/キム・ヒョジン/キム・ヘリ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


伝説の神剣によって封じられた呪術師の怨念が解き放たれるとき、世は災いに見舞われる。そのはずなのに一人の女に憑りついて、宮廷武官を殺すだけとはいかにもスケールが小さい。その上、過剰な音楽のわりには映像がお粗末で、題材に対するこだわりが感じられない。チャン・ツィイーが出演している中国時代劇を安っぽくしたような映画だ。


神話時代、新羅を統一した武将は蛮族の恨みを封印する。約800年後、新羅の国は乱れ女王はビハラン将軍に反乱軍の鎮圧を託す。一方、ビハランの出征中、王位を狙う一派にビハランの恋人・ジャウンビが刺客に襲われる。抵抗するジャウンビは埋もれていた神剣を抜いて呪術師の怨念を解き放ち、湖に身を投げる。妖怪となったジャウンビは新羅王朝に復讐に向かう。


怨霊に取り付かれたジャウンビが宙を舞い、空を走る。圧倒的な力で新羅兵の首を落とし腕を切る。挙句には体の真ん中を真っ二つにぶった切る。しかし、彼女の所作振る舞いは優雅さとは程遠く、残酷さしか感じない。もっと韓国舞踊を取り入れたような独特の動きを取り入れなければ、せっかくのワイヤーアクションを生かしているとはいい難い。ここはこの作品の見せ場なのだからもっとアイデアを注ぎカネと時間を掛けて、美しく哀しくそして余韻の残るようなシーンにすべきだろう。映画のハイライトがこの程度ではあとは推して知るべし。


ジャウンビはその後も女王の命を狙い、女王に忠誠を誓うビハランと闘うことになる。古代の怨霊に取り付かれているとはいえジャウンビの姿をした妖怪をビハランは斬ることができない。ビハランの葛藤とジャウンビの体から怨霊を追い払う闘いが延々続くわけだが、ここでも取り立てて新しいものはない。物語自体は設定を変えただけでこれまで散々描かれてきたものだ。せっかく美しい女優を主役に据えているのならば、彼女にしかできないような体のしなやかな動きや、韓流の剣さばきなどを見せてもらいたかった。


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