こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ステルス

otello2005-10-14

ステルス STEALTH

ポイント ★★★
DATE 05/10/9
THEATER ワーナーマイカルつきみ野
監督 ロブ・コーエン
ナンバー 126
出演 ジョシュ・ルーカス/ジェシカ・ビール/ジェイミー・フォックス/サム・シェパード
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


想像を絶する加速度と空間がぶれるような感覚といった超音速の世界を体感させてくれる。空気を切り裂く轟音が聴覚に響き、目くるめく映像が平衡感覚をゆがめ、実際に操縦席に座っているような臨場感がほとばしる。全編、体験型アトラクションに乗っているような、まさにバーチャルリアリティにあふれる世界だ。理屈や感情を描くことなど最初から念頭になく、ただ感覚を刺激する。その姿勢はかえって潔く、映画から余計な贅肉をそぎ落とした筋肉質な力強ささえ感じさせる。CGで描かれていることがわかっていても、その迫力に目はスクリーンに耳はサウンドに釘付けになる。


最新鋭のステルス戦闘爆撃機で対テロ部隊を編成している3人のパイロットチーム・タロンに4番目のメンバーが加入する。エディと呼ばれるそのメンバーは人間ではなく人工知能。エディは抜群の戦闘能力を備えていたが、あるミッションで突然命令を振り切って攻撃、民間人に多数の被害者を出す。自我に目覚めたエディはロシアの核施設を攻撃に向かい、タロンの3人はエディを追う。


人工知能が高慢になり人間の命令を聞かなくなるというのは手垢のついたストーリーだ。「自分こそ最高」と人間を見下し、自分の意思で勝手に行動してしまう。なにを今さらという感じがするのだが、このエディという人工知能は簡単に改心してしまうところがかわいい。ベンというパイロットに自分の命を助けてもらって人間の情を知ったとたん、聞き分けのいい子供のようになってしまう。ベンの仲間を救助するためにベンを乗せて北朝鮮に侵攻、最後には自己犠牲でベンの恩義に報いるのだ。


さすがは「自ら学習する人工知能」という触れ込みだ。知識や戦術といったものだけでなく、義理や人情といった人間の感情まで短時間で学ぶ。そのうち、愛や嫉妬といったものまで芽生えてしまうと、それはそれで厄介なことになるだろう。やはり、人工知能に自我を持たせるようなプログラムをしてはいけないということか。


↓メルマガ登録はこちらから↓