こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

プライドと偏見

otello2006-01-18

プライドと偏見 PRIDE AND PREJUDICE


ポイント ★★★
DATE 06/1/7
THEATER ワーナーマイカル新百合ヶ丘
監督 ジョー・ライト
ナンバー 8
出演 キーラ・ナイトレイ/マシュー・マクファディン/ドナルド・サザーランド/ロザムンド・パイク
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


自分の気持ちに気づいていながら正直になれない男と女。相手を見下す高慢さと、情報不足からくる誤解で相手に対して持ってしまう偏見がふたりの仲の邪魔をする。美しい田園風景をバックに繰り広げられる女たちの花婿争奪戦は、結婚は財産があれば成り立つが愛は相互理解のうえにしか成り立たないことを証明し、愛は言葉で伝えなければならず沈黙は何も生み出さないことも教えてくれる。


18世紀末のイギリス、田舎町に住むベネット家には5人の娘がいた。ある日、ベネット家の近所に独身の大金持ち・ビングリーが引っ越し、娘たちは色めき立つ。長女のジェーンはビングリーと恋に落ちるが、次女のエリザベスはビングリーの友人・ダーシーに直感を感じる。しかし、ダーシーが姉とビングリーの仲を裂いたと知ったエリザベスはダーシーを激しく憎む。


女性に相続権のなかったこの時代の、結婚に人生がかかっている娘たちと母親の意気込みがすさまじい。舞踏会のシーンでは、恋にあこがれる年頃の娘たちは輝くように美しい。しかし、その笑顔の裏では冷静にそろばんをはじいている。現代とは比較にならないほど結婚相手によって自分の人生の浮沈がかかっている娘たちの品定めは、辛辣さ以上に切実さが伝わってくる。


エリザベスはダーシーの突然のプロポーズを拒絶するが、自分が誤解していたことを知って彼への思いを新たにする。自分の思ったことをストレートに口にするエリザベスは、当時では異端児のような存在だったはずだ。しかし、言葉の端々に知性と教養をうかがわせる彼女はダーシーにとって刺激的存在であることも確か。おそらくダーシーの元にはひっきりなしに縁談が持ち込まれていたはずで、そうして知り合った娘たちは皆奥ゆかしくつつしみ深かったのだろう。彼の高慢さはそんなところから生まれ「女なんて所詮は財産目当て」と思い込む。だからこそ財産になびかないエリザベスが気になるのだ。いい男を捕まえるには自分を安売りしないこと。結局しっかりと自分の考えを持ち、それを安易に曲げなかったエリザベスがいちばんいい男をゲットするのは、現代でも通じる教訓だ。


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