サウンド・オブ・サンダー A SOUND OF THUNDER
ポイント ★★
DATE 06/3/25
THEATER ワーナーマイカルつきみ野
監督 ピーター・ハイアムズ
ナンバー 44
出演 エドワード・バーンズ/ベン・キングスレー/キャサリン・マコーミック/ジェミマ・ルーパー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
おそらくカネはかかっているのだろう。しかし、テイストはあくまでB級。それでもここまで極めるとかえって立派に見える。安易な設定、チャチな未来社会の造形、ご都合主義の展開。欠点を挙げればきりがないのだが、それでも観客を楽しませてやろうという意気込みだけは伝わってくる。映画ファンの中には細かい理屈よりも、わかりやすいスリルを求める層が確実に存在し、そこをターゲットにした作品も必要なのだろう。普通に教養がある人間にはあほらしく見えてるだろうが、ピーター・ハイアムズ監督がこうした映画を作り続けるのは市場のニーズがあるのだ。
タイムサファリ社は6500万年前にタイムトリップする装置を開発し、金持ち相手に恐竜ハンティングを実施していた。ある日、客の一人が過去からある物を持ち帰ったせいで時間にひずみが生じ、異常気象や生態系に異常が出始める。タイムマシン開発者のライヤーとプログラマーのソニアは現在を正常に戻すために過去に戻る手段を探るが、もはや街は見たこともない動植物に覆われていた。
ほんのわずかな初期値の違いで結果がまったく変わってくるというバタフライ効果。まさにその言葉どおりの原因がこの映画のミソだ。本来なら、恐竜ハンティングの一行がタイムトリップから戻った時点で現在が変わっているはずなのに、その変化が時間の波となって何度にも別れてやってくる。でも、マントヒヒ型恐竜や巨大コウモリなど異常な進化を遂げた動物がいると思えば、人間はあまり変わらない。人間への影響は最後になるということなのだが、建物や機械も時間の波に襲われた後でも電気さえあればきちんと作動する。
ツッコミどころ満載の理論的にもヘナチョコ映画なのだが、まあそもそも過去に行って戻ってくるということ自体が壮大な矛盾なのだし、そこに変に時空を超えた愛とか友情などという陳腐なものを挟み込まなかっただけでもマシと思える作品だった。