こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

リトル・イタリーの恋

otello2006-04-03

リトル・イタリーの恋 LOVE'S BROTHER


ポイント ★★*
DATE 06/3/31
THEATER シャンテ・シネ
監督 ジャン・サルティ
ナンバー 47
出演 ジョバンニ・リビシ/アダム・ガルシア/アメリア・ワーナー/シルヴィア・ドゥ・サンティス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


まじめが取り柄で奥手な兄と、明るくて恋愛にも積極的な弟。その兄弟のもとにやってきたひとりの女。恋人との仲よりも兄弟愛を優先させるイタリア人のメンタリティが事態を複雑にする。通信は手紙、渡航は客船という時代だからこそありえたすれ違いから生まれた物語、ヒロインの悲しい思いがコメディタッチで描かれる。しかし、ミスマッチといえるほどの効果をあげるには至らず、ご都合主義的な結末にも素直に喜べない。


オーストラリアに移住したイタリア人兄弟、アンジェロとジーノは何をするにも一緒だが、ハンサムなジーノに比べてアンジェロは陰気。結婚を急ぐアンジェロは、イタリア人花嫁募集に応募する手紙にジーノの写真を同封する。その手紙を受け取ったロゼッタはジーノをアンジェロと思い込み、単身やってくる。事実を知った後もロゼッタはオーストラリアに残るが、彼女はますますジーノのことを愛するようになる。


すべてはアンジェロの嘘と自信のなさが余計な騒ぎを招いている。自分をよく見せようと弟の写真をロゼッタに送ったとはいえ、彼女がオーストラリアに来てしまった以上何らかの行動をとるべきだろう。何もかも弟任せ。ここでもっとロゼッタに対して「絶対にキミを幸せにする」というような態度をとって、それを必死で訴えていればいれば彼女の気持ちも変わったかもしれないのに、その努力もしない。どこまでも煮え切らない態度を取り続けるアンジェロには半ばイライラする。


結局、ジーノはロゼッタと、アンジェロはジーノの元恋人と結ばれるという安易なハッピーエンド。できの悪い兄を持ったジーノの苦悩なのか、優柔不断な自分を変えたかったアンジェロの自立なのか、だまされて異郷に嫁いだロゼッタの絶望なのか。いずれにせよシリアスな内容なのに、あまりにも明るい色調で撮りすぎた結果、内容と表現が乖離するという違和感を生んでしまった。


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