ポイント ★*
DATE 06/5/22
THEATER 池袋ヒューマックス
監督 ショーン・レヴィ
ナンバー 78
出演 スティーブ・マーティン/ケヴィン・クライン/ジャン・レノ/ビヨンセ・ノウルズ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
ヘンリー・マンシーニの有名なテーマ曲と共に、ピンクの豹がいたずらをして回るおなじみのアニメが懐かしい。そして映画が始まると、ブレーク・エドワーズ&ピーター・セラーズのオリジナルシリーズを髣髴させるベタなドタバタぶり。しかし、それは洗練された笑いとは程遠く、古臭さしか感じさせない。スティーブ・マーティンやケヴィン・クラインのはじけっぷりもイマイチだし、ジャン・レノも木偶の坊のよう。なぜ今頃ピンクパンサーを復活させたのか、まったく意味不明だった。
パリでサッカーチームの監督が殺され、彼が身につけていたピンクパンサーという巨大なダイヤが盗まれる。事件を担当するドレフェス警視はアホのクルーゾーを警部に抜擢して捜査に当たらせる。クルーゾーは相棒のポントンと共に容疑者を追ってニューヨークに飛ぶ。
電動車いすの電気を逆流させたり、自動車を縦列駐車するのにわざわざ前後の車のバンパーを壊したり、支えを失った地球儀がビルから飛び出して街を混乱に陥れたりと、のっけからギャグのオンパレード。しかし、笑いのツボがことごとくストライクゾーンから外れている上に、俳優たちが体を張ってまじめに演じているから余計にイタイ。フランス訛りの英語を俳優に話させてパリの雰囲気をかもし出そうという演出は理解できるが、そこからはエスプリの片鱗もうかがえなかった。
結局、クルーゾーとポントンの大活躍で無事殺人犯を逮捕し、ピンクのダイヤも取り戻す。コメディにストーリーの整合性を求める気はないが、それでも子供だましといわれても仕方のないレベル。もっとS・マーティンやK・クラインに前シリーズの束縛を解いて自由に演じさせれば違った印象になっただろう。ドタバタコメディはもはや死んだということを見事に証明した映画だった。