こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

デイジー

otello2006-05-29

デイジー


ポイント ★★★
DATE 06/3/29
THEATER 東宝東和
監督 アンドリュー・ラウ
ナンバー 46
出演 チョン・ジヒョン/チョン・ウソン/イ・ソンジェ/チョン・ホジン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


まったりとしたラブストーリーを突然の銃声が切り裂き、いきなり物語は疾走を始める。そうかと思えば長々としたモノローグが流れを止める。一途な想いに生きる女と、自分を偽って生きていかなければならない2人の男の愛が交錯するとき必然的に悲劇が訪れ、咲き続けるデイジーの花だけが哀しみの中に愛の思い出を焼き付ける。男女の間に芽生える愛は韓国風、男同士の思いの熱さは香港風、人間関係の伏線の張り方などミステリアスな中にも映像に緩急を使い分け、最後まで気が抜けない。


画家を目指すヘヨンは広場で出会ったジョンウという刑事と恋に落ちる一方、心の底では自分のために丸太橋を作ってくれた見知らぬ男を愛していた。殺し屋のパクウィはそんなヘヨンとジョンウをずっと見守っていたが、麻薬密売組織がジョンウを襲うところに遭遇、ヘヨンを助けようとして狙撃銃を構える。


2人の男が1人の女を愛する。ジョンウがそばにいるときはヘヨンの心はパクウィを想い、パクウィがそばにいるときはジョンウを想う。ヘヨンは2人の男に同時に愛されても2人の男を同時に愛せない。刑事と殺し屋、ヘヨンを愛した2人の男は必然の帰結としてどちらかが死ななければならないという運命が待っている。。


ただ、この3人、恋愛に対してナイーブ過ぎる。女は25歳なのにいまだに恋を夢見る乙女のメンタリティだし、男2人もいい年して自分の気持ちを女に伝えられずにモジモジしている。お互い仕事に関しては意志の強さを発揮するのに、10代の少年でもないのに恋に対しては非常に奥手。大人の愛を描いているはずなのに、セックスのにおいがまったくしないのはどういうことだろう。チョン・ジヒョンが清純派のイメージを脱ぎ捨て大人の恋愛における微妙な心理を演じていれば、男たちの切ない気持ちに応えることができたはず。エロティックなにおいのする女優を使っていれば、もっと作品に奥行きが出ただろう。


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