こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トランスポーター2

otello2006-06-09

トランスポーター2 TRANSPORTER 2

ポイント ★★★
DATE 06/6/6
THEATER 新宿ミラノ
監督 ルイ・レテリエ
ナンバー 87
出演 ジェイスン・ステイサム/アンバー・ヴァレッタ/マシュー・モディーン/
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


上質なスーツとピカピカの高級車。目にもとまらぬ速さの身のこなしで4人のチンピラをぶちのめす卓越した体術。プロローグで3年のブランクのうちに主人公の技能はより洗練され、肉体的にもタフになっていることを簡潔に説明する。その語り口はあくまで軽妙でスピーディ。女殺し屋のキレ具合もエキセントリックながらビジュアル的には主人公と対をなし、はたして映画はカーチェイスと銃撃戦、生身の格闘を絶妙にブレンドして、切れ味鋭いアクションの香りを漂わせている。


マイアミに拠点を移した運び屋のフランクは、麻薬取締官の息子の送迎をしている。ある日、マフィアに息子が誘拐され身代金と交換に救出されるが、24時間以内に死亡するという新型ウイルスを注射されていて、息子に触れた大人たちも次々に感染する。そのワクチンはマフィアのボスが持っていた。


神業ともいえるドライブテクニック。新車のアウディにかすり傷ひとつつけることなく追跡車をかわし、隘路を逆走し、道路を飛び越え、空中で1回ひねりを見せる。格闘シーンにおいても打撃から関節技、ワゴンからドアといった小道具の使い方が秀逸。特に消防ホースを使って複数の敵をなぎ倒すシーンはコミカルな趣すら醸し出す。また、自慢のスーツを破かれてもすぐに新品に着替え身だしなみを気にするダンディズムも小気味よい。この際ストーリーのディテールなどどうでもよく、主人公が走り殴り運転することだけに重点を置いた構成は潔い。


ただ、いくら驚異的な身体能力とクールな頭脳を持ち合わせているといっても、車輪格納庫から離陸途中の小型ジェット機に乗り込んだり、そのジェット機が海中に墜落したのにたいしたけがをしなかったりと、後半はかなりうそ臭くなる。それでも最後まで途切れることなく続く疾走感が映画の醍醐味を存分に味あわせてくれる。 

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