こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

僕の、世界の中心は、君だ。

otello2006-08-30

僕の、世界の中心は、君だ。


ポイント ★
DATE 06/8/26
THEATER チネチッタ
監督 チョン・ユンス
ナンバー 138
出演 チャ・テヒョン/ソン・ヘギョ/イ・スンジェ/キム・ヘス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


才色兼備の恋人が不治の病で若い命を落とすという、原作の一番安易な設定だけを抽出した失敗作。そこには映画版「セカチュー」の青春のきらめきやとまどい、ひたむきさといったものはほとんどなく、どう見ても高校生には見えない老けた男女が制服を着てコスプレをしているとしか思えない。時代を感じさせるアイテムも日本では一般的ではなかった伝言ポケベルだけで、文化や風俗からは10年前を懐かしく思い起こさせる小道具類は希薄。元ネタをより薄く、よりぬるく解釈するだけでリメイクとしては退化している。


学校一の美女・スウンに告白され、つき合いはじめた平凡な高校生・スホ。友人たちの計らいで小さな島に二人で旅行に出かけるが、そこでスウンは倒れる。街に戻ったスウンは白血病と告げられ、スホは毎日のように彼女を見舞う。


スホ、スウンのふたりにまつわるエピソードだけでなく、爺さんの悲恋や妹と柔道部員の恋なども、とりあえず入れてみました、という感じの詰めの甘いもの。爺さんの初恋の人も爺さんの事を思い続けていたのなら、生前に会いに来るべきだろう。彼女の娘が連絡先を知っていたのだから彼女も当然爺さんの居場所や現状を知っていたはず。また、デブ同士似合いのカップルというスホの妹と柔道部員は、笑いの狙いが低すぎてため息しかでない。


そもそも世界の中心をアボリジニの聖地ではなく「君」にした事で、すでに映画作りに対する腰が引けている。オーストラリアにまで行く予算はないので「君」ということにしておきましたといういいわけがミエミエ。低予算なら低予算なりにもっとアイデアをしぼり、共感が持てるエピソードや気の利いたセリフを考えなければ、韓流メロドラマはやがて日本市場から信頼をなくすだろう。


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