こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スネーク・フライト 

otello2006-10-23

スネーク・フライト SNAKES ON A PLANE


ポイント ★★★
DATE 06/9/8
THEATER シネマート
監督 デヴィッド・エリス
ナンバー 149
出演 サミュエル・L・ジャクソン/ジュリアナ・マーキュリーズ/ネイサン・フィリップス/ボビー・カンナバル
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


体をくねらせながら這い進み、鎌首をもたげたかと思うと鋭い牙で襲いかかる。毒を撃ち込まれた人間は悶絶の末、息絶える。どん欲な殺しの本能はさらに獲物を求めて徘徊し、人間達は徐々に逃げ場を失っていく。床や天井、時には思わぬ所に潜み、観るものに次々と死の恐怖味あわせていく手法はホラーの常道だが、世界中に生息する毒蛇を死の遣いにしたアイデアは秀逸。未知の生物や細菌といったものではなく、その習性や毒性が人々の知識としてある程度わかっていながら実生活ではまず遭遇することのない毒蛇。それらが実態を伴った恐怖として人間達を追いつめ、噛みつくシーンはリアルな体感を伴う。


ハワイでギャングのボスによる殺人現場を目撃したショーンは、LAの法廷で証言するために飛行機で護送される。しかし、ショーンの命を狙うボスは飛行機に大量の毒蛇を忍ばせ、ショーンを殺そうとする。FBIの捜査官・フリンをリーダーに乗客乗員は蛇と戦うがなすすべもなく追いつめられていく。


金属や電子機器の機内持ち込みが厳しく制限されている昨今だからこそ、蛇という変温動物を使う。一度機内に潜入させればその身体的特性から少しの隙間さえ合えばどこにでも侵入して、人間を毒牙にかけることも可能。一般の乗客だけでなくパイロットの命を奪うことでさらに生き残りを困難にさせる。そもそも犯人側の狙いは毒蛇による暗殺ではなく、飛行機もろともショーンを抹殺すること。迫り来る毒蛇と墜落の恐怖という二重のトラップのなかで乗客が見せる人間模様もきちんと描かれていて、誰が死ぬかがある程度予想できることに少しは安心。ただ、大蛇に捕らえられたオッサンが呑み込まれる様子は最後まで見たかった。


結局、窓を破壊して気圧差で蛇を機外に放り出し、ゲームオタクが飛行機を操縦。着陸でもう一ひねりあると期待したが、意外にあっさり。と思わせておいて最後にもう一度毒蛇にショーンを襲わせたりと、最後までサービス精神の旺盛な作品だった。


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