こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トリスタンとイゾルデ

otello2006-10-28

トリスタンとイゾルデ TRISTAN+ISOLDE


ポイント ★★★
DATE 06/10/22
THEATER 109シネマズ川崎
監督 ケヴィン・レイノルズ
ナンバー 181
出演 ジェームズ・フランコ/ソフィア・マイルズ/ルーファス・シーウェル/
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


愛に殉ずるべきか忠義を貫くべきか。恋に落ちた女も、仕えている王も、男にとっては命の恩人。燃え上がる気持ちを抑えきれずに、命を救われ育ててくれた父代わりの男を裏切らなければならない苦悩が、色彩と明度を落とした陰鬱なトーンとなって映像を支配する。そこに男たちの野望や陰謀がどす黒く渦巻き、若い2人の男女の運命が翻弄されていく。名誉を重んじつつ感情の暴走を引き止めることができないという主人公の嫉妬と苦悩と、恋をする自由もなく父の決めた結婚相手の下に政略結婚の駒として嫁がされるヒロインの悲しみが切実な思いとなってスクリーンに投影される。


アイルランド王の圧制の下、イングランド諸王のリーダーとなって反旗を翻したマーク王はトリスタンという勇敢な男の子を養子にする。やがて勇者となったトリスタンはアイルランド兵との戦いで重傷を負うが、アイルランドの王女・イゾルデの献身的な看護で一命を取り留める。


イゾルデの前に現われたトリスタンは彼女にとって唯一の自由への光明。好きでもない男との結婚を父に決められた身に、若い異邦人はまぶしすぎる。しかし、イゾルデは運命の女というほど美しくないのが物足りない。彼女が絶世の美女ならば人生を狂わされても仕方ないだろう。ソフィア・マイルズではせいぜい同盟のつなぎ役。まあ、女の好みは人それぞれだが。


マーク王の后となったイゾルデはトリスタンと密会を重ねるが、イゾルデの不義を疑うマーク王はその調査をトリスタンに依頼する始末。恩人を裏切り続け、ついにはそのスキャンダルが敵に知れることになったとき、トリスタンは命を捨ててせめて名誉だけでも取り戻そうと剣を取る。過酷な運命には違いない。それでも愛と忠義、どちらかを選択しなければならないとき、男は忠義を尊び女は愛を選ぶ。そのあたりの男女のメンタリティの違いがよく描かれていた。


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