こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シャーロットのおくりもの

otello2007-01-05

シャーロットのおくりもの CHARLOTTE'S WEB


ポイント ★★
DATE 07/1/2
THEATER 109グランベリーモール
監督 ゲイリー・ウィニック
ナンバー 1
出演 ダコタ・ファニング/ケビン・アンダーソン/エシー・デイビス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


まず自分が相手を信じる。友達がほしいときの鉄則を主人公の子ブタは忠実に実践する。生まれついての見かけは気にせず、誰とでも公平に接することで他者から信頼され、それがやがて自分の身を助けることになる。事なかれ主義とあきらめが蔓延する家畜小屋で、小さな友情から芽生えた大きな希望。映画は動物たちとクモの姿を通じて、生きることの意味と命をつなぐことの大切さを訴える。しかし、対象年齢はあくまで10歳未満、子供の心を失った大人が見るには少し辛い内容だ。


農家の少女・ファーンは処分されそうな子ブタにウィルバーと名づけて自分で育てるが、やがて隣家に売られる。そのままだとウィルバーは冬に燻製にされる運命。家畜小屋で知り合ったクモのシャーロットがウィルバーを救うためにさまざまなアイデアを練る。


ファーンから見たウィルバーはあくまでブタ。かわいいペットではあっても、あくまで一方通行の愛情を注ぐだけの存在だ。一方、ウィルバーの視線で捉えた動物たちは皆心を持った友人たち。あまり頭はよくないものもいるが、それぞれの意思はある。映画はそうした人間の視点と子ブタの視点が交互にスイッチするのだが、そのまったく相容れない世界観が混在するためにちぐはぐな印象を受ける。どうせなら、すべて子ブタの視線にしたほうが統一感が取れたはず。子供はそんなこと気にしないだろうが。


クモが自分の巣に人間の言葉を記してアピールするという「奇跡」も、あまりにも現実感がなさ過ぎる。動物や昆虫を擬人化するのと、人間と同じような知能を持たせることはまったく別。動物たちが食べることや子孫を残すことに情熱を注ぐのなら違和感はないが、文字を描くのはやりすぎだろう。いくらおとぎ話といってももう少しキャラクターの設定をきちんとすべきだろう。


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