こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バブルへGO!!

otello2007-02-14

バブルへGO!!


ポイント ★★*
DATE 07/2/11
THEATER 109シネマズ港北
監督 馬場康夫
ナンバー 29
出演 阿部寛/広末涼子/薬師丸ひろ子/吹石一恵
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


ボディコン、オープンハート、馬鹿でかい携帯電話、乱れ飛ぶ万札とタクシーチケット、六本木交差点…。まだまだ人々の記憶に鮮明に残っているバブル時代のディテールを再現することで、年配の観客には懐かしさを、若い観客には異界に迷い込んだような錯覚を起こさせる。同じ好景気といっても、21世紀のように一部の勝ち組だけが消費を謳歌するのではなく、国民誰もが恩恵に浴していた。そのあたり現代の「負け組」のギャルをあの時代に送り込んで、彼女の目でその熱狂がいかに奇異なモノであったかを語らせる構成は手堅く、楽しめる。


2007年、日本経済は瀕死状態で、財務省の下川路はその元凶が90年の土地取引規制にあると判断、タイムマシンで真理子という発明家を送り、当時の大蔵官僚にその規制の発表をやめさせようとする。しかし真理子は転送先で行方不明、下川路は新たに真理子の娘・真弓を17年前に送り込む。


小難しい理屈はここでは一切無視し、ひたすら真弓が体験する現在との過去のファッションや価値観のギャップを描く。みな異常なテンションで浮かれまくり、明るい未来を信じている。特に長銀に就職が決まった学生が後の自分の運命も知らず、約束された将来を語る場面は悲しくもおかしい。また、若いころの下川路が異常な女たらしで真弓にも手を出そうとするが、彼女が自分と真理子との間にできた子だという真実を知ると急にまじめになったりと、笑いのツボもきちんと抑えている。飯島真理子、飯島愛、ラモスなどを実名で登場させるというサービス精神も馬場康夫作品ならではだ。


ただ、そのような観客を楽しませようという姿勢はいかにも安直で、一発芸の域を出ていない。もちろんバブル時代を真弓に経験させることで彼女に人間的な成長を期待するというような志はハナからなく、ラストでレインボーブリッジを3本作るといった行為からはバブルに対する反省は微塵もない。それはあの時代に多大な恩恵を受けたつくり手たちの、もう一度同じ夢を見たいという強烈な願望に思えて仕方がない。あえて反省しなかったのは、身の丈にあった経済で満足しろという逆説的な警鐘であると理解したいが。。。。


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