こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ドリームガールズ

otello2007-02-19

ドリームガールズ DREAMGIRLS


ポイント ★★★★
DATE 06/12/19
THEATER ヤマハホール
監督 ビル・コンドン
ナンバー 222
出演 ジェイミー・フォックス/ビヨンセ・ノウルズ/エディ・マーフィー/ジェニファー・ハドソン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


ゴージャスでファンタスティック! 圧倒的な歌唱力としなやかで激しいダンス、そしてきらびやかなステージがスクリーンに再現される。緻密に計算されたカメラワークはめくるめくような躍動感を、リズムを刻む音楽は足踏みを促し、細やかな人間の喜怒哀楽を織るような歌詞は心を直撃する。スターを夢見た少女たちがのし上がっていく過程で得るハイソな生活と愛や友情を失うという苦悩、そんなショービジネス自体をショービジネスの題材にして、この世界の華やかさの裏にある成功し生き残るための厳しい現実を描く。


エフィー、ディーナ、ローレルの3人組のオーディションを見て才能を見抜いたプロデューサーのカーティスは、彼女たちをアーリーという歌手のバックコーラスとしてデビューさせる。やがてディーナをメインボーカルにしてドリームスというグループでデビューさせるが、エフィーが脱退する。


人気の絶頂期からやがて時代に忘れられ、ドラッグにおぼれていく歌手を演じたエディー・マーフィーが見事に復活している。まだ黒人歌手が世間に認められていなかった時代、アーリーは黒人社会ではスターだったのに白人に受けようとして身を滅ぼしていく。テレビの普及と共にノリのいい音楽が求められ、自分のスタイルを変えられずカーティスと衝突する。栄光と没落、そして孤独な死。アーリーの姿を通じて描かれたショービジネスの縮図はいつの時代も変わらない。


やがて、金儲けだけを考えるカーティスにディーナは愛想を尽かし、ドリームスは解散。そのラストコンサートにエフィーも加わり大団円、クライマックスでは壮大なショーが繰り広げられる。夢をかなえた後のお祭りのような日々もいつかは終わりが来る。楽しかったこともつらかったこともすべて包括しすべての感情を爆発させる彼女たちの花火のような激情は、ミュージカル映画のラストにふさわしい。


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