こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アンフェア the movie

otello2007-03-30

アンフェア the movie


ポイント ★
DATE 07/3/27
THEATER 新宿バルト9
監督 小林義則
ナンバー 60
出演 篠原涼子/椎名桔平/江口洋介/寺島進
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


武装集団がハイテクビルを占拠したり、制圧に向かった特殊部隊が寝返ったりと、「ダイ・ハード」1・2のアイデアを臆面もなくまねる厚顔さにはあきれ果てる。大量殺戮物質で一般市民を人質に取るというアイデアも「亡国のイージス」のパクリ。そんな剽窃の上に大掛かりなドンパチシーンを適当に混ぜておけば一般大衆は満足するだろうという、制作サイドの観客をバカにした態度が明らかだ。ながら見のテレビ視聴者ならこれでごまかせても、スクリーンに集中してい映画館の客にはご都合主義丸出しの物語の穴がボロボロと露出することを脚本家は知るべきだ。


警察庁長官が入院する病院をテロリスト集団が制圧、身代金として警察庁に80億円を要求する。たまたまその病院に娘が入院していた女刑事・雪平は、上司の制止を振り切って病院に潜入する。


警察という組織を浄化しようとして、逆にはめられた元警官の復讐。その動機は立派なものだが、計画はあまりにも杜撰。テロリストたちは監視カメラがあるはずの病院内に素顔で入ってから覆面をするし、所持している銃器もバラバラ。病院占拠後も逃走経路を確保しているとは思えない。また、病院内に保管されている致死性の高い病原菌を奪おうとするが、そんな危険なものをすぐに割れるようなガラスケースに保存しないはず。さらに、奪った病原菌を地下鉄のトンネルを通じてばら撒こうとするが、病院の排気口が地下鉄の路線内につながっているものなのだろうか。もしつながっていても、撒き散らす瞬間に地下鉄が通過したら病原菌が病院内に逆流するはず。いくら指揮官が人望のある人物でも、こんなアホな計画に命を預けるやつはおらんやろ。


そして終盤は警察、テロリストの双方に裏切り者が続出してもはや収拾がつかなくなる。多くの人が死にぬのに、雪平と娘の命は助かってめでたしめでたし。「終わりよければすべてよし」とヒロインは言うが、「終わりも悪くてすべて悪し」という映画だった。


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