こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ストレンジャー・コール

otello2007-06-19

ストレンジャー・コール WHEN A STRAGER CALLS


ポイント ★
DATE 07/5/9
THEATER ソニー
監督 サイモン・ウェスト
ナンバー 91
出演 カミーラ・ベル/ケイティ・キャシディ/ブライアン・ジェラティ/
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


見知らぬ家の中に少女がひとり無言電話に恐れおののく様を、ただひたすら不快感を増幅させるような音楽とショッキングな効果音で表現しようとする試みは、観客を怖がらせるというよりびっくりさせているだけ。もし、この映画から音楽がなければ、ただヒロインが大騒ぎしているだけのばかげた作品になっていたはず。よくも、これだけ内容のない脚本を映画化しようと思ったものだ。何の仕掛けもなく、ここまで単調だと退屈を通り越して見ているのが苦痛になってくる。


女子高生のジルは、子守のアルバイトをするために人里はなれた医師の豪邸をたずねる。2人の子供は部屋で寝たまま、メイドもいつの間にかいなくなり、ひとりで心細い思いをしていると、頻繁に無言電話がかかってくる。


冒頭のシーンでストレンジャーなる殺人鬼が若い女性を素手でバラバラ死体にしたり、ジルがなかなか速いタイムで走ることができることが、クライマックスでこの2人が直接顔を合わせたときにまったく生きていない。ストレンジャーがその怪力でメイドをひねり殺したり、ジルが走ることでストレンジャーを倒すきっかけになっていたりすれば、伏線として生きてくるのだが、そんな工夫はまったくない。結局、ストレンジャーは屋敷の中からずっとジルを見張りながら無言電話を掛けていたというアホらしいからくり。いったいこの家のセキュリティはどうなっているのだ。


また、このストレンジャーが何者で何ゆえジルを狙ったのかも、一切説明はない。ただの変質者で殺人鬼。最後に頬に長い傷跡のある彼の横顔が映し出させるが、これも何を意味しているのかまったく不明だ。そして、一難去ってベッドで休んでいるジルが、再びストレンジャーに襲われる夢を見る、というオチも使い古されたもの。まあ、連絡を取ろうと知り合いのケータイに片っ端から電話しても、みな電波状況が悪かったり留守電だったりしたときのイライラだけは共感できたが。。。


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