こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハリウッドランド

otello2007-06-28

ハリウッドランド HOLLYWOODLAND


ポイント ★★
DATE 07/6/19
THEATER シャンテ
監督 アレン・コールター
ナンバー 119
出演 エイドリアン・ブロディ/ベン・アフレック/ダイアン・レイン/ボブ・ホスキンス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


生え際に目立ってきた白髪と張りのなくなってきた肌、胴回りをおおうだぶついた贅肉。かつては若く、輝くような笑顔と鍛え上げた肉体も老化現象からは逃れられない。もはやどうごまかしてもスーパーマンを演じ続けることができなくなった肉体派二枚目俳優の苦悩。自分自身の姿を正視することに耐えられなくなったとき、彼は引き金を引いたのだろうか。自殺というには矛盾が多く、他殺とするには証拠が少なすぎる。そんな事件の真相に探偵が迫っていく過程で、過去の時間軸の経過が分かりにくく、因果関係の再構成に戸惑う。


'59年6月、「スーパーマン」で人気のあった俳優ジョージ・リーブスが自殺する。死因に疑問を持ったジョージの母が探偵のシモに再調査を依頼。シモはジョージがハリウッドの大物プロデューサー・マニックスの妻トニーと不倫していたことを突き止める。


警察は自殺と結論したが、もし他殺なら犯人は誰なのか。シモの推理は、恋人のレオノアとの格闘中に銃が暴発したとか、マニックスに頼まれた殺し屋に殺されたとか、さらにトニーにまで容疑の網を広げる。一方でマニックスの妨害に合い、調査は難航する。その過程でさらに事件は混迷の度を増し、シモ同様、映画自体も右往左往する。結局、映画化するにあたって新事実や新説が提示されるわけではなく、煮え切らないまま収束に向かう。


マニックスがマフィアのドン並みの権力を持ち殺人も辞さない男だったり、スターがスキャンダルまみれだったりと、'50年代のハリウッドの雰囲気がよく再現されている。中でも「地上より永遠に」でジョージの出演シーンがカットされるシーンは秀逸。スーパーマンのイメージが強すぎ、客の反応が悪い。ジョージ自身そのイメージから脱却しようとNY進出を図る。そのあたり、もっとジョージが俳優という仕事に行き詰まり、苦しんでいるところを描写してこそハリウッドの陰が描けたのではないだろうか。


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