こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スターダスト

otello2007-10-29

スターダスト STARDUST


ポイント ★★
DATE 07/9/25
THEATER UIP
監督 マシュー・ヴォーン
ナンバー 193
出演 クレア・デインズ/チャーリー・コックス/ミシェル・ファイファー/マーク・ストロング
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


若者は自分の愛と勇気を証明するために冒険の旅に出る。まだ己の力の限界を知らず、その無鉄砲さゆえに予想もしない力を発揮する。たとえそこが魔法の世界であっても、恐れとは無縁に使命を果たそうとする。そしてそれは定められた運命。困難を克服し、敵を倒すのは一人前なるための通過儀礼なのだ。しかし、映画は魔法世界の登場人物の作りこみが甘い上、設定がご都合主義に陥ることが多い。結果として主人公の愛と冒険になかなか感情移入できなかった。


壁に囲まれた村に住むトリスタンは恋人のために流れ星を取ってくると約束する。流れ星が落ちたところは壁の向こうの魔法の世界、流れ星はイヴェインという女性に姿を変えていた。そして彼女の身を魔女と王子たちが追う。


トリスタンとイヴェインはたびたび危機に陥るが、前半はそれを切り抜けるために機転を利かしたり、相手を出し抜いたりせず、ひたすら運だのみ。海賊に捕らえられても人間界から来たというだけで歓待される。そのあたり物語としてのディテールがツメが甘く、もう少し伏線を張るなりして納得できるような構成にして欲しかった。唯一、永遠の若さと美貌を手に入れようとする魔女が、魔法を使うたびに容貌が醜く崩れていく過程はとてもリアリティがあった。


そして、イヴェインは魔女に捕えられ、トリスタンと王子が魔女の元に駆けつける。そして3すくみの対決、ここにきてやっとファンタジー映画らしい活劇が見られる。特に魔女が人形を操り王子をトリスタンと戦わせるシーンは秀逸。王子が傀儡のようなコミカルな動きで剣を振り回す姿がとてもエキサイティングだった。結局、トリスタンの母は先王の娘で、王家の血を引くトリスタンが魔法の王国を継ぎ、イヴェインを王妃に迎えるというありきたりの大団円。もう少し物語に隠し味がないと、大人が鑑賞するには物足りない。


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