こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

モーテル

otello2007-11-22

モーテル VACANCY


ポイント ★*
DATE 07/11/18
THEATER WMKH
監督 ニームロッド・アンタル
ナンバー 235
出演 ケイト・ベッキンセール/ルーク・ウィルソン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


手の込んだタイトルロールはヒッチコック風のミステリーを連想させ、街灯ひとつない山道をひた走る自動車は震え上がるようなサスペンスを予感させる。しかし、怖がらせるというより驚かせることが目的のような下劣な演出と効果音が足を引っ張り、登場人物が感じる恐怖ばかりが増幅されサバイバルのための知恵や勇気がほとんど描かれていない。もう少し伏線を張るとか罠にかけるとかという工夫が欲しかった。結果として山場に乏しく途中からオチが見えてしまう。まあ、殺したはずの悪党がいきなり蘇ったり、続編を期待させるようなベタなドンデン返しがなかっただけマシだが。


デビッドとエイミー夫婦はドライブ中に山中で道に迷い、人里離れたモーテルに泊まることにする。そこで見つけたのは殺人が行われている場面を録画したビデオテープ。惨劇の舞台は自分たちがチェックインした部屋だった。


夫婦を狙う殺人者たちは十分に脅しをかけてから部屋に押し入って、じっくりと時間をかけてなぶり殺しにし、その過程をビデオに撮ろうという趣味の悪さ。二人が逃げようとしても行く手をふさぎ、通報を受けた保安官を殺してしまう。さすがにそこまで行くと誰かに気付かれるはず。もっとスマートなやり方をしないと頭の悪さばかり目立ってしまう。一方のデビッドたちも、相手の裏をかくくらいのアイデアを見せて欲しい。


ただ、この映画に登場する悪党たちは決して不死身ではなく、狂気に支配されているわけもはない。かなりイカれてはいるが圧倒的な力で恐怖を与える存在ではないことがリアリティを持たせている。結局、デビッドは刺されるがエイミーの機転で3人とも退治する。このクライマックスも何のひねりもなく、2人を車でひき殺し残りは銃殺するというあっけないもの。50年前ならこの程度でも通用したかもしれないが、現代の目の肥えた観客を満足させることはできないだろう。


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