こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

俺たちフィギュアスケーター

otello2008-01-07

俺たちフィギュアスケーター BLADES OF GLORY


ポイント ★★★
DATE 07/12/27
THEATER シネマGAGA!
監督 ウィル・スペック/ジュショ・ゴードン
ナンバー 265
出演 ウィル・フェレル/ジョン・ヘダー/ウィル・アーネット/エイミー・ポーラー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


男女ペアが当たり前と思われていたフィギュアスケートペア競技に、男2人で挑むという逆転の発想。国際ルールでは認められていないはずだが、米国内ではOKなのだろうか。優雅さや美しさより、力強さと難易度の高い技で従来の競技の常識を打ち破る。さらにリアリティを捨てることで荒唐無稽な面白さを呼び起こし、友情と信頼の物語を強固に仕上げている。下品なシーンも多いが、そのB級感が、フィギュアスケートの世界にある人間同士のドロドロした感情を際立たせている。


ジミーとチャズは米国スケート界で常にトップを争うライバルだが、しなやかな表現が得意のジミーと、セクシーさが売り物のチャズは性格も正反対。ある競技会の表彰式で乱闘を起こし2人は永久追放となる。しかし、規約の盲点をつきペアで復帰を図る。


ジミーは女性的だが、2人をゲイのペアにしなかったのがよかった。セックス依存症のチャズが禁欲生活の果てにジミーに手を出すというようなベタな展開ではなく、あくまで2人の関係は精神的に結ばれたもの。最初は反発していても、ペアを組むには息がぴたりとあっていなければならない。だからこそお互いのことを知り合ううちに相手に思いやりの気持が生まれる。そして2人だけにしかできない幻の大技「アイアンロータス」を完成させるために、2人は心を通わせていく。


いよいよ国際大会本番、誤解やライバルの陰謀を跳ね返し、ジミーとチャズはリンクに立つ。圧倒的な支持を受け演技も順調、そこでまた妨害されるが2人は役割を入れ替えて大技を決め、お約束どおりのハッピーエンド。ただ、ウィル・フェレルの二重あごとだぶついた腹を、特訓をするうちにそぎ落としていくというくらいのリアリティは出してほしかった。せっかくワイルドな雰囲気を持つスケーターという、オリンピックには出てこないタイプを主人公にしているのだから。。。


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