こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

28週後...

otello2008-01-22

28週後... 28 WEEKS LATER


ポイント ★*
DATE 07/12/11
THEATER 20世紀FOX
監督 ファン・カルロス・フレスナディージョ
ナンバー 253
出演 ロバート・カーライル/ローズ・バーン/ジェレミー・レナー/ハロルド・ペリノー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


広い野原を逃げまわる主人公たちを数十人の集団で追うゾンビたち。その足は速く全力疾走に近い。そこに救出にやってきた軍用ヘリがゾンビの群れに突っ込み、回転するローターで首を刎ね、胴体を刻み、手足をぶった斬る。飛び散る血しぶきと肉片、大量に発生し、いくら退治しても次々と現れるゾンビに対してさまざまな対処法があったが、今までいちばん見たかった殺戮法だ。こんな残酷な殺し方ができるのもゾンビ映画ならでは、このシーンは不快感極まりないこの作品のなかで唯一輝いて見えた。


ウイルスが収まりゾンビも一掃された英国は米軍の管理下で民間人の帰還が始まる。生き残りのドンと彼の子供タミーとアンディが帰ってくる。2人は管理地域外の自宅に戻ると、そこに死んだはずの母・アリスが変わり果てた姿で生きていた。


アホなオヤジと輪をかけて無謀な子供たち。感染しても発症しない特異体質のアリスを発見したことで管理地域を出たことは帳消しにされるかもしれないが、大惨事のきっかけを作ったことに何の反省もない。ドンもウイルスが体液で伝染することを知っていながら、アリスにキスをして自分からゾンビになってしまう。こんな無責任極まりない男にセキュリティの管理を任せていいものだろうか。結局、この男が感染・発症したせいで再びゾンビ禍がロンドンを襲い、多数の軍人・民間人がゾンビと化す。


後半は子供たちと彼らを守ろうとする軍人・合流した一般人のグループが迫りくるゾンビをなぎ倒しながらひたすら逃亡するというお決まりのパターン。一行は、全員殺せという命令を受けた軍部からも追われる。身体能力がアップしたゾンビとの格闘や逃走シーンはハンディカメラによる主観映像で、画面のブレや揺れが激しくて臨場感たっぷりだが、乗り物酔いのように胸焼けする。そして何万人という犠牲者を出した挙句、自分たちだけは無事フランスに脱出したこのバカ姉弟が今度はパリを死の街に変えてしまうというオチに、失望感のダメ押しを食らった。。。


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