ライラの冒険 黄金の羅針盤 THE GOLDEN COMPASS
ポイント ★★*
DATE 08/2/23
THEATER 109GM
監督 クリス・ワイツ
ナンバー 46
出演 ダコタ・ブルー・リチャーズ/ニコール・キッドマン/ダニエル・クレイグ/エヴァ・グリーン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
顕在する魂、魔女、人々を支配しようとする力。パラレルワールドは現実に近いが少しずつ違う。それは移動手段や通信手段、ファッションが20世紀初頭風の懐古趣味、実験設備は最先端を行くようなクリーンさと電力を大量に消費するような21世紀風という、新旧の混在するような不思議な空間。それらのディテールは目を見張るようなSFの世界ではなく、デジャヴを感じさせるように記憶の底を刺激する。目新しさよりも、なじみのある風景をバックグラウンドにすることで、パラレルワールドのルールに抵抗なく入っていくことができる。
活発で度胸が据わっている少女・ライラは、子供たちが相次いで失踪するという事件に直面、真相を探りに黄金の羅針盤を手に北の国に旅立つ。そこで指導者たちの邪悪な計画を目にする。
この世界の人間は自分の魂を具現化したダイモンという動物を常に身のそばにおいている。その動物を見れば人の性格が分かるという仕組み。ゆえにまだ精神的に不安定な子供は頻繁にダイモンの姿も変わるが、大人はダイモンを見ればどういう人間かが判断できる。狡猾そうな金色のサルをダイモンに持つコールター夫人はその冷たさを感じさせる青い瞳を見ただけで悪人と決め付けられるほど分かりやすいキャラ。また、ダイモンこそが人間である証なのだろう、人格を持つ鎧グマにはダイモンがなく、冒頭でライラが友人にハッタリをかますシーンが、後に鎧グマの王の前で堂々とダイモンについて嘘をつくシーンに見事に生かされている。
ライラは支配層である「教権(マジステリアム)」が民衆から自由を奪うためにダイモン分離計画を進めていることを知り、阻止すべく立ち上がる。冒険心にあふれた若者が運命に導かれて旅に出て、やがて仲間を得て大いなる悪と戦うというファンタジーのセオリーどおりの展開だ。一応協力者と共に陰謀を打ち砕くという大スペクタクルは付いているものの、この第一作目は人物紹介と舞台の背景説明といったところか。。。