こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ひぐらしのなく頃に

otello2008-05-11

ひぐらしのなく頃に


ポイント ★★
DATE 08/2/22
THEATER SG
監督 及川中
ナンバー 45
出演 前田公輝/飛鳥涼/松山愛里/あいか
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


人里離れた山奥の村に少年が引っ越してくる。クラスメイトの少女たちはみな親切で明るくフレンドリーなのに、どこか暗い陰が付きまとう。そして次々に起きる殺人事件。山に囲まれた閉鎖的なコミュニティの因習と隠された醜聞、それらがやがて少年を追い詰めていく過程で、少女たちの無邪気な笑顔の裏にある邪悪が垣間見えてくる。しかし、彼らを演じる若い出演者たちに表現力不足が目立ち、薄気味悪さや背筋が凍るといった感情がほとんど伝わってこない。まあ、少年に絡む少女の張り付いたような微笑は場面によっては狂気を感じさせたが。


全学年あわせて15人しかいない分校に転校してきた圭一は、魅音とレナというクラスメイトと仲良くなる。村の神社の夜、祭具殿という立ち入り禁止の場所に忍び込んだ圭一は、この村で起きた事件を調べているカメラマンと看護師に会うが、翌日そのふたりは死体で発見される。


鬼の伝説、連続殺人とバラバラ死体、村人の奇妙な態度。そういったホラー映画必須のアイテムをショッキングな映像とこけおどしのサウンドの羅列ではなく、ライティングとアップ、短いカットの切り替えしで不安をあおる演出は、おどろおどろしさよりもシャープに圭一の戦慄を伝えようとする意図なのだろう。ただその試みは映画の流れを細切れにしてしまい、圭一が感じる違和感が具体的な恐怖にまで蓄積していかないのが欠点。これがセリフ覚えの悪い俳優の救済措置でなければよいのだが。。。


村を支配する神社の呪いに気付いた圭一はレナに襲撃され、逃げる途中で村人にも追い詰められる。そして夢か現か分からぬうちに、魅音とレナをバットで殴打してしまう。このあたり物語が飛躍しすぎていて、圭一が命を狙われるほどのことはしているとは思えない。学校に男子が異様に少ない理由や、消えた少年が残したバットなどの伏線を生かすなど、脚本にもう少し緻密な構成が欲しかった。


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