こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ラスベガスをぶっつぶせ

otello2008-05-30

ラスベガスをぶっつぶせ 21


ポイント ★★★*
DATE 08/4/1
THEATER ソニー
監督 ロバート・ルケティック
ナンバー 79
出演 ジム・スタージェス/ケイト・ボスワース/ケヴィン・スペイシー/ローレンス・フィッシュバーン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


ツキに頼るのではなく、記憶力と確率論でブラックジャックに挑む。場に出たカードから残りのカードを類推し、有利なときにだけチップを積み上げる。駆け引きの入り込む余地はなく、頭の中で冷静に計算し判断できるものだけが勝つことができるのだ。映画は天才的な数学センスを持つ大学生を中心としたチームがラスベガスに乗り込んで、自分たちの理論を実践しつつ大金を稼ごうとする過程を通じて、ギャンブルを知的ゲームとして解析した上で人間的な要素を持ち込むことにも成功している。


MITの学生・ベンは冴えない学生生活を送っていたが、ミッキーという教授が主催する秘密の集会に誘われる。そこはカードカウンティングというブラックジャック必勝法を研究するクラブで、学生たちはミッキーの元で役割分担しながらカジノ荒らしをしていた。そしてベンにもラスベガスデビューの日がやってくる。


ロボット作りとバイトに励み、優秀な成績にも関わらず、学費の高さから医学部進学をあきらめざるを得ない日常。一方でラスベガスでの優雅なホテル滞在。それはもちろんミッキーの指導通りに動いたチームの成果だ。最初は学費分を稼ぐだけといっていたベンも徐々にカネの魅力に取り付かれ、ボストンでの友人たちとの間に溝ができていく。このあたり、ベンの弱さと苦悩がリアルに描かれ、ゴージャスなラスベガスでの非日常と見事な対比をなす。


やがて傲慢になったベンはスタンドプレーに走り、ミッキーから破門にされる。地道な生き方を選ぶのかと思いきや、もうひと勝負挑もうとする。クライマックスはカードゲームと見事なトリックの融合で心地よく騙してくれる。賭け金をやり取りする以上に貴重でユニークな経験をしたベンは、その経験を武器に再び奨学金の面接に望む。カネよりも大切なものがあることに気付き、一回り成長したベン。ただ、「濡れ手に粟」的なカネを手にしたベンに、ハッピーエンドを用意するのは少し甘い気がするが。。。


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