こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ホット・ファズ

otello2008-07-17

ホット・ファズ HOT FUZZ

ポイント ★*
DATE 08/7/14
THEATER シネマGAGA
監督 エドガー・ライト
ナンバー 169
出演 ニック・フロスト/ジム・ブロードベント/テイモシー・ダルトン/パディ・コンシダイン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


催涙弾や実弾が飛び交うポリスアクションと古い村に隠された悪意を暴くミステリーを融合させ、そこにマヌケなキャラクターがドジを連発して笑いを取ろうとする。映画的な要素が盛りだくさんで期待させられるのだが、どのシークエンスも消化不良で中途半端。まるで、見た目は華やかなご馳走が勢ぞろいしているけれどおいしいものは何もないファミレスのメニューのようだ。各々のエピソードが意外なところでハズすようなオチで肩透かしを食わそうという意図はよく分るのだが、結局策におぼれて自滅している。


ロンドンで大活躍していた警官のニコラスは、田舎の村に異動を命じられる。そこは平和な村のはずだったが、連続して不審死が起き、ニコラスが捜査しようとしても他の同僚は事故として片付けてまともに調べようともしない。やがて事件の真相に気付いたニコラスは村を陰で支配する闇の組織に命を狙われる。


警察学校を主席で卒業し数々の手柄を立てたニコラスを紹介するプロローグはテンポよく、彼の優秀さに引き込まれる。ところが転勤話が出ると、上司や恋人とに会話で妙な弛緩が現れて、演出のトーンが揺らぐ。村に赴任後もコンビを組むダニーという警官を狂言回しにするのかと思いきや、彼の立場もイマイチ不鮮明。あらゆるギャグやアクションが突き抜けるべきところで突き抜けず、微妙なところで寸止めにすることで、見る者の予想を逆なでし続ける。


クライマックスでは、闇のグループと戦うために馬上の騎士をなるニコラス。その過剰な武装は明らかにコミカルを目指しているのだが、まったく面白くない。そして次々と敵を倒すのだが、相手がミニチュアの街でミニカーに足を滑らせて尖塔にあごを突き刺されたり、白鳥につつかれた悪党が自動車を大木に衝突させたりと、ゆるさ満開。そのアクションも洗練とは程遠く、ベタにもなりきれていない。いったいこのこのは何を目指していたのだろう。最後まで理解に苦しむ作品だった。


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