こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

弾突

otello2008-09-24

弾突 PISTOL WHIPPED

ポイント ★★
DATE 08/7/28
THEATER ソニー
監督 ロエル・レイネ
ナンバー 182
出演 スティーヴン・セガール/ランス・ヘンリクセン/レニー・エリス・ゴールズベリー/ポール・カルデロン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


マッチ棒の頭に火をつけるほどの正確無比な射撃の腕と、圧倒的な格闘術で並み居る敵をなぎ倒す強さは健在なのだが、全盛期に比べてスピードの衰えは隠しきれない。しかし、最近2作に比べると腹回りやあごのラインがやや引き締まり、少しだけ動きにシャープさが戻っている。相変わらず同じような役柄で同じようなストーリーの映画に出演するスティーブン・セガールには批評は無用、俳優としてのイメージを変えるつもりがないのならば、このまま死ぬまで「地上最強のオヤジ」を演じ続けて欲しい。


元刑事のマットは借金のカタに汚れ仕事を引き受ける。それは法の網を巧みに潜り抜ける悪党どもの処刑。暗殺を進めるうちにかつての同僚で親友のスティーブという刑事が重大な汚職に関わっていたことを知る。


彩度と明度を落としたフィルムは、荒涼としたマットの心象を表現しているだろう。ただその効果は薄く、かえって見づらいだけだ。せめて、別居中の愛娘と安らぎのひと時を過ごすシーンくらい明るい色調にするとかの変化が欲しい。また、敵味方入り乱れての派手な銃撃戦やカーチェイスも、カメラワークに工夫がなくロングショットで撮っているだけなので臨場感に乏しく、かといってリアリズムに徹しているわけでもない。明らかなB級作品と分ってはいるが、そこに何らかのアイデアを盛り込んで観客をアッといわせるような場面がひとつくらいは欲しかった。


やがてスティーブの裏切りを知ったマットは仲間と共に葬儀会場に集まった悪徳警官たちと対決するのだが、マットがお約束どおりの大活躍で一味を一掃する。そして彼は、もはや後戻りできないと覚悟を決めて殺し屋を続ける。途中、組織のボスがターゲットにも家族がいるというようなことをマットに忠告する。これが何らかのキーワードになるのかと思ったが、結局最後まで生かされていなかったのが残念だ。まあ、セガールが演じるヒーローに家族や愛などといった甘ったるいものは不要だが。。。


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