こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

恋愛上手になるために

otello2008-11-01

恋愛上手になるために THE GOOD NIGHT

ポイント ★★*
DATE 08/8/1
THEATER 映画美学校
監督 ジェイク・パルトロウ
ナンバー 186
出演 ペネロペ・クルス/グウィネス・パルトロウ/マーティン・フリーマン/ダニー・デビート
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


せめて夢の中だけでは甘い生活を楽しみたい。仕事も私生活もパッとしない男が、眠っている間だけは思い通りに過ごそうと、夢をコントロールする術を学ぼうとする。しかし、所詮、夢は夢。見果てぬ理想を追い求めるより、すぐそばの人を愛することこそ満ち足りた人生を送るコツなのだ。過去の栄光から未だに卒業できない主人公が、恋人への本当の気持ちに気づくまでの心の変遷。男はいくつになっても大人になりきれず、女は冷静に現実を見つめている。そのメンタリティの違いが鮮やかなコントラストとなって描かれる。


CM作曲家のゲリーはドーラと同棲中だが、最近衝突ばかりしている。ある日、夢に現れたアンナという美女にもう一度会いたいと願うあまり、明晰夢のセラピーに参加する。そして、アンナと瓜ふたつのモデル・メロディアと食事をする機会を得る。


かつて人気バンドのメンバーだったゲリーは、今や忘れられた存在。せっかく作った曲も大衆ウケしないとプロデューサーから酷評される。ドーラは画家を目指したが才能の限界を知り今は画廊勤め。おそらく安定した収入のあるドーラのほうが発言権は強いのだろう、ゲリーは肩身が狭い。アンナはそのストレスから逃れるための特効薬。窓に防音材を張り目隠しをして眠る、アンナに会おうと涙ぐましい努力をするゲリーの姿が愚かしくもいとおしい。


ロディアと出会って夢が実現したと有頂天になるゲリーだが、彼女は期待していたような女ではないという冷徹な事実に失望する。さらにドーラに新しい恋人ができると激しく嫉妬する。このあたり、自分のことは棚に上げ別れた女が幸せになるのを素直に喜べない男の狭量さが笑える。その後、ゲリーはドーラへの思い込めた曲を書き彼女に捧げるが、直後に交通事故にあう。昏睡状態の中でゲリーはアンナと別れるが、彼の胸中はドーラに伝わったのだろうか。ただ、ゲリーの行動があまりにも幼稚である一方で、それがコメディにまで昇華されておらず、ほとんど共感を覚えないのが欠点だった。


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