こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

X−ファイル:真実を求めて

otello2008-11-08

X−ファイル:真実を求めて THE X FILES:I WANT TO BELIEVE

ポイント ★*
DATE 08/11/7
THEATER 渋東
監督 クリス・カーター
ナンバー 273
出演 デイビッド・ドゥカブニー/ジリアン・アンダーソン/アマンダ・ピート/ビリー・コノリー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


殺人事件に関係するビジョンが見えるという超能力者。彼の言に従えば犠牲者の遺体や誘拐された被害者の居場所がピンポイントでわかる。はたして男は本物なのか、犯行を偽装するための狂言なのか。その能力を信じている元FBI捜査官と否定的な医師。映画は2人の再会と考え方の違いを軸に、大掛かりな凶悪犯罪に行き当たる。しかし、連続殺人事件の解決を透視能力に頼るより、地道な捜査で対応すべきだ。


FBI捜査官・モニカが失踪し、直後にジョー神父の予知で切断された男の腕が発見される。超常現象に詳しいスカリー医師とモルダーはFBIの捜査チームに復帰、ジョー神父とともにモニカを探す。そんなときモニカと同じプールに通っていた女性も姿を消す。


この映画、モルダーを現場復帰させること以外にサイキックを登場させる意味があったのだろうか。ロシア人科学者が幹細胞を使った再生医療を悪用して、人体のさまざまなパーツを接合して「フランケンシュタイン」を作る研究をしている。彼らは確かにマッドサイエンティストではあるが、やっていることはあくまで科学的でオカルトや宇宙人とは一線を画している。ならば無理にジョー神父やモルダーに神秘的な雰囲気を漂わせるのは、いたずらに混乱を招くだけではないか。


また、ロシア人グループもなぜわざわざ警察機構の発達した米国にラボをおくのか。役人が腐敗し、失踪者が出てもロクに調べないような発展途上国のほうが、実験用の生きた人間もより簡単に手に入るはずだ。だいたい現役FBI職員を襲えばFBIが捜査に本腰を入れることが分らないとはアホ丸出しではないか。ジョー神父が元小児性犯罪者だったり、スカリーが難病患者の主治医だったり、モルダーが妹のトラウマを抱えていたりもするが、それらの要素は一見意味ありげだが本筋とは無関係。そもそもの前提からしてばかげた作品、こんな脚本が映画化されたことが最大の謎に思える。


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