こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

1408号室

otello2008-11-20

1408号室 1408

ポイント ★★
DATE 08/10/30
THEATER SG
監督 ミカエル・ハフストローム
ナンバー 265
出演 ジョン・キューザック/サミュエル・L・ジャクソン/メアリー・マコーマック/トニー・シャローブ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


押し寄せてくる幻覚と妄想、そのプレッシャーに耐え切れなくなったものは自らの命を絶つ。何者なのかもなぜなのかも分らない正体不明の不気味さ、その部屋に足を踏み入れた人間は、1時間以内に確実に死ぬのだ。娘を病気で死なせてしまったことから心霊の存在を信じない男が体験する究極の恐怖、しかしその実体は最後まで明らかにされることはない。映画は主人公が密室で起きるさまざまな超常現象を通じて、死者の怨念や神の怒りといった感情的なものではない、純粋な悪意が持つ巨大なパワーを描く。


ホラーネタ専門記者のマイクはNYにある高級ホテルに決して泊まってはいけない禁断の部屋があると知り、支配人の制止にも関わらずチェックインする。しばらくすると部屋のデジタル時計が1時間のタイムリミット刻み始め、部屋自体がマイクを襲い始める。


これは新手の参加型アトラクションなのか。強引に部屋に入ろうとするマイクを支配人は執拗に止めるが、かえってマイクの好奇心を刺激するだけ。はたして部屋は生きているかのようにマイクに物理的な攻撃を仕掛け、安っぽい幽霊を見せる。さらに、向かい側のビルにいる男が自分の鏡像だったとか、隣室の窓がなくなっていたり、窓から落ちたものや人が空間に吸い込まれたり。まるでよくできたお化け屋敷の中に迷い込んだようだ。


やがて部屋が暑くなったり凍てついたりした挙句、破壊されて洪水になる。だが、物語は溺れたマイクが目覚めると病院のベッドの上という夢オチに見せかけて、再びホテルの部屋に戻されるという2重構造。今度はそこで死んだ娘と再会するという、もはや杜撰な工事で屋上屋を重ねるような何でもアリの世界になってしまう。その後も話は二転三転するが、ここまで来るとバカバカしくて付いていけない。すべてがマイクの朦朧とした主観が見た悪夢だったと解釈すべきなのだろうか。。。


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