こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

雷神-RAIJIN- 

otello2009-02-06

雷神-RAIJIN- KILL SWITCH


ポイント ★
DATE 09/1/8
THEATER EB
監督 ジェフ・F・キング
ナンバー 5
出演 スティーヴン・セガール/アイザック・ヘイズ /ホリー・エリッサ・ディグナード/マイケル・フィリポウィック
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


もはやスティーブン・セガール簡単なアクションすらできないほど衰えてしまったのか。格闘シーンは明らかにダブルが担当し、主人公は後姿しか映らない。セガールの顔がスクリーンに現れても、それはアップだけで彼の手足で敵を攻撃することはない。危険なスタントだから代役に任せるというのではなく、もう激しい動きはできないからと格闘シーンはダブルに演じさせているのがミエミエ。もちろんセガールの作品に過剰な期待はしていないが、これでは彼の合気道を基本にした独特の拳法を楽しみにしているファンをも裏切っている。


敏腕刑事ジェイコブはビリー・ジョーという爆弾魔を逮捕するが、ビリーはすぐに釈放され、ジェイコブに報復する過程で殺人を繰り返す。並行して被害者の体に占星術の刻印を残す連続猟奇殺人が発生、ジェイコブはそのメッセージを読み解き、犯人のアジトを突き止める。


ツッコミどころ満載のコメディとして見たほうがストレスは感じないのかもしれない。殺人犯のような悪党は殺してしまえという発想で、ジェイコブはチンピラたちをぶちのめし犯人を追い詰めていく。しかし、その途中でまだ犯罪者かどうかも定かでない人間にまですぐに暴力をふるい発砲する。彼の暴走は少年時代に双子の兄弟を惨殺されたトラウマが原因になっているのだが、そんな言い訳は警察組織の中では通用しないだろう。一応、FBI女プロファイラーを登場させて、エリートと叩きあげでは現場で命を張っているほうが偉いんだということを主張しているが、付け足しの印象は否めない。


また、ジェイコブが同僚の女性巡査と暮らしているのはよいのだが、なぜかラストシーンで妻子の待つ家に戻る。単身赴任先で不倫同棲していたのか、ジェイコブは。そしてその相手が殺されたらとっとと家庭に戻るのか。女性巡査の惨殺死体を見ても表情を変えないのに、ロシア風美女である妻が裸で迫ってくると鼻の下を伸ばしてスケベオヤジのような顔になるラストは嘲笑を誘う。そういえば貧相なビリー・ジョーは麻生総理ソックリで、こちらも思わず鼻を鳴らしてしまった。。。


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