花のあすか組 NEO!
ポイント ★*
DATE 09/2/26
THEATER EB
監督 釣田泰
ナンバー 47
出演 高山侑子/佐野光来/倉内沙莉/高口真々子
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
女子高生たちが集団で入り乱れ、拳が飛び、脚が舞い、日本刀やブーメランの一閃で血しぶきがあがる。そんな「美少女バイオレンス」を目指したのだろう。しかし、見どころとなるべきの格闘シーンは、演じる女優達の肉体的鍛錬が明らかに不足していて、パンチやキックの打ち方をまったく習得していないのは明らかだ。それを細かいカットでごまかそうとしているが、かえって見づらくしている。この手の映画を作るのならば、きちんとオーディションをしてアクションをこなせる女優を使うべきだ。少なくともヒロイン役は。
女子高生の間で流行する謎のドラッグ・UF中毒で自殺者が相次ぎ、あすかはミコ、姫、奈々といった仲間と調査を始める。UFを売っているのは紅組というレディース集団、しかもそのリーダーである紅あおいはかつてあすかに敗れ顔に大きな傷をつけられたという因縁があった。
乱暴な言葉づかいといい、恋愛感情一切なしという硬派な態度といい、要するに不良学生劇画の女子高生版。あすかは喧嘩がめっぽう強く、渋谷あたりのレディースなど一蹴してしまうほどなのだが、そういった場面でもただ腕を逆手にとり腹を殴るだけ。せめて少しでもあすかを演じる高山侑子に合気道の心得があったならば、きれいに技が決まるショットを撮れたに違いない。彼女の身のこなしのぬるさがこの作品にとって致命傷となった。
ミコたちは紅組を追い詰めるが、仲間のさくらが裏切ったために逆に窮地に立つ。そこにあすかが単身殴り込みをかけることで抗争に決着をつけようとする。だが、一人で多人数を相手にする割にはだらだらと殴り合いをしているにとどまる。一応クライマックスは日本刀を持ったあおい対ブーメランを持ったあすかのタイマン。このあたりもCGを使えばもっと迫力のあるシーンに仕上がるのだが、そこまでの手間は掛けていない。まあ、予算にも製作日程にもかなりの制限があったのかもしれないが、それでもワンカットでいい、監督のセンスが光るような映像が見たかった。