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映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フィースト3/最終決戦

otello2009-05-28

フィースト3/最終決戦 FEAST 3 : THE HAPPY FINISH


ポイント ★★
DATE 09/5/26
THEATER EB
監督 ジョン・ギャラガ
ナンバー 123
出演 ジェニー・ウェイド、クルー・ギャラガー、ダイアン・ゴールドナー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


正体不明の怪物が人間を食い殺すだけでなく、人間が怪物に喰らいつき噛み殺す。希望を持たせる男があっけなくやられて、意地汚いやつほど助かるのかと思わせてやっぱりあきれるような死に方をする。相変わらず暗くてブレまくったシーンの連続と、どぎついほどの血のイメージで全編を覆うシリーズ最終作、その人を食ったような展開はとんでもない方向に突き進む。安っぽい怪物のグロさよりも、極限に追い込まれた人々が見せる赤裸々な感情が奇妙な笑いを誘う。


怪物に襲われて壊滅状態になった街で生き残った数人が、堅牢な留置場に逃げ込もうとしていた。しかし、留置場に立てこもる“宿無し”は合鍵で侵入しようとした“ライトニング”をダイナマイトで吹き飛ばす。生存者はそこから留置場に入るが同時に怪物も追ってくる。


ヒーロー然とした“カウボーイ”の登場で人間側の反撃が始まると期待させておいてあっさり味方に殺されたり、“ジャン・クロード・セガール”という名のカンフー使いが両腕をもがれながらも奮闘するがはしごに上れず憤死する。映画には怖がらせることよりも、「どうやって観客の予想を裏切ってやろうか」といういたずら心が満載なのだが、映像の見づらさが苛立ちを増幅させる。そうした不快感すらも作り手側の狙いなのだろうが、今回は地下の場面も多く光量が決定的に不足しているために、ひねくれた笑いにまで昇華できていなかった。


その後もサバイバルは続き、結局生き残ったおっさんは、若い女に「一発やらせろ」みたいなセリフを口にする。さっきまで死と隣りあわせだったのに、安心したとたん性欲が先にたつ。まさに人間の本性が現れる見事なシーンだ。さらにその若い女が突然現れたロボットに踏み潰されたかと思うと、ギターを持ったメキシカンが「フィーストのバラード」を歌いだす。どこまでもとぼけた味わいにあきれ果て、考えることがバカバカしくなる作品だった。


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