こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トランスフォーマー/リベンジ

otello2009-06-22

トランスフォーマー/リベンジ Transformers:Revenge of the fallen

ポイント ★★*
DATE 09/6/20
THEATER THYK
監督 マイケル・ベイ
ナンバー 146
出演 シャイア・ラブーフ/ミーガン・フォックス/ジョン・タトゥーロ/ジョシュ・デュアメル
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


腹の底まで響くクリアな重低音が、金属の重さや硬さだけでなくしなやかさや冷たさまで伝える。意思と命を持ったロボット同士が激突し、パンチやキックの応酬の後、関節技まで披露する。そんな大がかりなCG映像のために綿密に計算されたサウンドは、映画館でしか味わえない大迫力。遊園地の体験型アトラクションに参加しているような視覚効果・デジタルサウンドに身を浸すことで、主人公と同じような感覚が味わえる。もはやストーリーは二の次、頻繁に舞台となる場所を変え、次々と登場する新手のロボットたちの名前を覚える余裕もなく、映画はひたすら見る者を思考停止状態においたまま突っ走る。


キューブのかけらを見つけたサムは、意味不明の文字と幻覚を見るようになる。一方、ディセプティコンたちとの闘いに明け暮れるオートボットたちは、サムの持つかけらがメガトロンの復活と新たな敵・フォールンを地球に呼び寄せたことを知り、オプティマスもオートボットに招集をかける。


普通に目にする自動車が数秒で巨大なロボットに変身する過程が見せ場なのだが、前作ほどのインパクトはない。それよりも今回は隕石のように空から降ってきたディセプティコンたちが空母の甲板を貫き、えぐられた艦体の数層にも重なる内部が露出するシーンが、細部にまで神経が行き届いて非常にリアルだった。まさに空母の断面図といった具合で、徐々に浸水して沈没していく様は、本筋とは関係ないけれど一番見ごたえがあった。


一度は死んだオプティマスがサムの活躍で蘇生し、エジプトのピラミッドを前にしてオートボットディセプティコンは再び干戈を交える。このクライマックスは、またもや戦場に放り込まれたような臨場感で、正常な判断力と感覚を麻痺させてしまうかのような圧倒的なビジュアルとサウンドの洪水。結局どんなバトルが展開しているのかよくわからないまま、オプティマスが勝ったことは理解できた。ただ、2万年近く前にも地球に来ていたとか、歳を取ったり親がいたりと、機械の体を持つエイリアンの過去や秘密が明らかにされるにつれ、付焼刃的な矛盾が見え隠れして来るのが残念だった。


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