こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT

otello2010-11-08

パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT

ポイント ★★★
監督 長江俊和
出演 中村蒼/青山倫子
ナンバー 266
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


不気味な物音、突然割れるコップやガラス、そしてカメラには映らない物理的な動き。悲鳴と絶叫、悪意に満ちた何かがそこにいるのは確かなのに、目には見えない。さらに霊能者が恐れ除霊師も歯が立たない。映画は悪霊に憑りつかれた女を弟がビデオ撮影する設定のもと、2人が本能を震撼させる様子をリアルに再現する。その映像はおどろおどろしさがない分、首筋に吐息を吹きかけられるような不快感にあふれいる。そこにJホラーの要素を加えたおかげで、米国製のオリジナル作品に比べより洗練された恐怖を体験させてくれる。


米国旅行中に交通事故に遭い両足を骨折して帰国した春花は、弟の幸一に介護されることになる。就寝中に車いすが移動したことから幸一が春花の部屋にカメラを設置すると、さまざまな超常現象が記録されていた。


浪人生である幸一がなぜか常にカメラを携え、どんな緊急時にも録画するのを忘れないという不自然さはあるものの、作り物めいた言動をできるだけ排除しているために素人ビデオを見ているよう。交わされる会話のトーンや内容も極力“素”に見せ、メディアに記録されている出来事が事実のような趣を持たせるのに成功している。このフェイクドキュメンタリーのアイデア自体はすでにやりつくされた感があるが、製作費が低く抑えられる分まだまだ新しい可能性にチャレンジする作家が現れるだろう。


◆以下 結末に触れています◆


やがて春花を襲う異常はエスカレートし、もはや幸一には手に負えなくなる。春花自身も悪霊に憑依されてしまう。ここで、春花の両足をギプスで固定した伏線が効いてくる。立ちあげれないはずの春花がぎこちない動きで歩き出し、人間とは思えないようなカクカクとした動作で徘徊する。このオリジナルになかったエピソードをラストに加えたことが、日本でリメイクされた最大の意義に違いない。