こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エクリプス/トワイライト・サーガ

otello2010-11-09

エクリプス/トワイライト・サーガ The Twilight Saga: Eclipse


ポイント ★★*
監督 デヴィット・スレイド
出演 ロバート・パティンソン/クリステン・スチュアート/テイラー・ロートナー/ダコタ・ファニング
ナンバー 267
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


愛する男と運命をともにしたいと願ってバンパイアになろうとする少女、永遠の不老ゆえの苦悩を少女に味あわせたくないと思いつつも結婚したい気持ちを抑えきれないバンパイア。そして少女を愛してやまない狼人間。ヒロインをめぐるトライアングルはバンパイアと狼人間の間に緊張をもたらし、バンパイアの中でも思惑の違うグループが対立しあう。複雑な種族間関係のなかでまたしても彼女の煮え切らない態度が余計なトラブルをもたらす。何かを選ぶのは何かを捨てること。しかし何も失わず誰も傷つけずに事を成就しようとするのは、彼女の優しさかわがままか。父親に「まだ処女よ」と告げて安心させるシーンには思わず噴き出したが。。。


エドワードにプロポーズされたベラは早くバンパイアの仲間になりたいと願う。ある日、ベラの命を狙うバンパイア・ヴィクトリアが現れたためベラはジェイコブが住む狼人間の村に避難。さらにバンパイアの新生者が集団でベラを襲うのを予知し、バンパイアと狼人間はベラを守るために協力する。


体温がなく心臓も動かないバンパイアに対し、ジェイコブは自分たちには血が通っているとベラに教える。またエドワードの“家族”が語るバンパイアになった経緯は、人間として生き、死ねる素晴らしさをベラに訴える。その後、雪山で凍えるベラを温ジェイコブは己の体温で温めてやる。時間が限られているからこそ人は誰かのために生きようとし、人生を充実させようと努力することを、映画はベラに悟らせようとするが、彼女の胸にはなかなか届かない。そんな見る者のもどかしさを彼女の父親が見事に代弁していた。


◆以下 結末に触れています◆


本来宿敵同士のはずのバンパイア・狼人間の両種族が“合同戦闘訓練”を行った上で新生者軍団と一戦を交える。圧倒的なパワーとスピードを誇る新生者に対し、不意打ちで応戦する狼たち。他方、狼を羽交い絞めにして骨を砕く新生者。別の場所ではバンパイアが新生者の首を砕き腕を引きちぎる。そうした格闘技でもなく銃撃戦でもない、肉体と肉体のぶつかり合う迫力が洗練されたCGでリアルに再現されていた。もはや人間とバンパイアの禁断の恋という枠を外れたこの物語、今後どういう展開が用意されているのか期待が膨らむ。