こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

僕が結婚を決めたワケ

otello2011-01-08

僕が結婚を決めたワケ THE DILEMMA


ポイント ★★*
監督 ロン・ハワード
出演 ヴィンス・ヴォーン/ケヴィン・ジェームズ/ジェニファー・コネリー/ウィノナ・ライダー/クイーン・ラティファ
ナンバー 307
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


男女間の隠しごとはどこまで許されるのか。親友だからといって何もかも話すべきなのか。仲の良い夫婦と結婚間近のカップルが直面する危機は、秘密にしておくには重大すぎるし、知られてしまうと破局を招きかねない。4人の中年男女の結婚に対する理想と現実を描く中で、女たちはまだ美しさの名残を残しているのに男たちは見事なメタボ体型。それは、女の方が愛されたい気持ちが圧倒的に強い証だ。コミカルな中にも誰しも経験する異性への幻滅がディテール豊かに盛り込まれていて、つい鼻息を漏らしてしまう。


ベンチャー企業社長のロニーとエンジニアのニックは大学時代からの相棒。ロニーはニックの妻・ジェニーヴァの紹介で知り合ったベスにプロポーズする。結婚式の打ち合わせで植物園を訪れたロニーは、ジェニーヴァが若い男と浮気しているところを目撃する。


ロニーは決定的な現場を抑え、ジェニーヴァにすぐ男と別れるように忠告するが、彼女は聞く耳を持たないどころか、昔の関係をニックにばらすと脅しをかける。同時にニックも仕事にかまけてジェニーヴァとセックスレスになり風俗通いを止められない。一見ラブラブな夫婦でも実際にはこんなもの、ロニーが結婚に抱いていたイメージが崩れ去っていく過程は、甘い生活を夢みているすべての男たちに送る警告だ。永遠の愛を誓うのは、愛し続ける努力を惜しまないことを誓うのと同義なのだ。


◆以下 結末に触れています◆


ロニーはニックが“寝盗られ亭主”なのが耐えられず、真相を知ろうとジェニーヴァの愛人にストーカー行為を繰り返す。一方、ロニーとジェニーヴァの過去を知ったニックはロニーに裏切られた気分になって、2人の友情に亀裂が走る。たとえ20年来の友でも、夫婦問題には口をはさむなどというおせっかいを焼くのは事をこじらせるだけ。それほど男女の仲は複雑で、感情の機微は他人には計り知れないものがあるとこの作品は教えてくれる。