こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジャッカス3D

otello2011-02-11

ジャッカス3D Jackass3D

ポイント ★★★
監督 ジェフ・トレメイン
出演 ジョニー・ノックスヴィル/バム・マージェラ/スティーヴォー/クリス・ポンティアス
ナンバー 29
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


子供のいたずらの延長から、悪趣味の極致のような事まで嬉々として挑む男たち。時に大ケガをしながら、一歩間違えると命に危険が及びかねないスタントに、ただ面白い映像を撮りたいがためにトライする。そこにあるのはあくなきチャレンジ精神とサービス精神。フツーの人ならひらめいても絶対に実行に移さないアイデアを手間暇かけて準備し、笑いながらも痛さに耐え、真剣に取り組む姿はある種感動的だ。それぞれのネタに出来不出来はあるが、下劣も究極を目指せば立派なエンタテインメントとして成立することをこの映画から教えられた。


ジョニー・ノックスヴィル率いるスタントチームがとんでもないおバカの数々を披露する。ジェットスキーで庭を飛び、蜂の巣を刺激して蜂に刺され、強力接着剤で胸毛をはぎ取り、バファローやヤギを怒らせる。さらに小人同士のケンカに小人の警官が仲裁に入ったり、ゴリラの気ぐるみを着た男がホテルで暴れまわったり、一般人のリアクションを楽しむ新趣向も見せる。


今回強化されたのは「下ネタ系」だろう。火山に見立てた男の尻から勢いよくクソ噴射したり、チンポでトスバッティングしたり、誰彼かまわず小便をかけまわる男など、まさに「がきデカ」レベルのアホらしさ。最後に人が入った簡易トイレを逆バンジージャンプで空中に打ち上げるネタに至っては、汚水タンクからあふれ出した糞尿が3Dのスクリーンから飛び出してくるようで、思わず顔を背けてしまった。


◆以下 結末に触れています◆


極めつけは「汗カクテル」だ。太った男にスエットスーツを着せた上で運動をさせて汗を絞り取る。そしてコップ一杯にたまったデブの汗を飲むのだ。たまたま口に入った自分の汗をなめた経験ならあるが、他人の体から出た汗はどんなテイストだろう。その生ぬるい塩味を想像するだけで、本当に吐き気を催してしまった。CGをはじめ3D、D-BOXなど様々な表現技術が発達したが、臭いや皮膚感覚を伝えられない中、視覚のみでここまで不快にさせる作品を作ったクリエーターたちには脱帽するしかない。