こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

BADBOYS

otello2011-03-25

BADBOYS

ポイント ★★
監督 窪田崇
出演 三浦貴大/阿部進之介/細田よしひこ/鈴木勝吾/徳山秀典/波岡一喜/渡部龍平
ナンバー 50
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


己の拳がどれほど通用するのか試したい。そもそもケンカに明け暮れる悪ガキの動機は、誰が一番強いのか自分の目で見届けたいというものだろう。同じ思いを持つものが集まり、殴り合い、優劣をつける。その過程で友情を築き、自己を磨き、挫折を乗り越え、度胸を据え、男として成長していく。映画は、「思いきり暴れる」という彼らの欲望をパワフルにとらえ、疾走感あふれる映像で迸る若き情熱を表現する。しかし、不良グループの抗争に巻き込まれた主人公が織りなす活劇は一見派手に見えるが、語り部の視点が定まらにせいでまとまりがない。


殺人事件で指名手配中の豊は警察に見つかるが、不良グループ“BEAST”を追われた石本に匿われる。広島制覇を目指す石本は豊の名前で仲間を集め、“BEAST”のリーダー・段野を倒す。


不良グループは3つあり、小競り合いはあっても全面戦争にまでは至っていないのはひとえに段野の圧倒的な力のおかげ。石本はそんな段野の事なかれ主義が気に入らず、ケンカがしたいと新たに“狂連合”を立ち上げる。だが、石本の欲求は弱いものをぶちのめすことで、強い相手とタイマンを張る勇気はない。一方で段野や豊は衆を頼みにせず、あくまでひとりで決着をつけようとする。このあたり、権謀術数を描きたいのか「男の花道」的ケンカアクションを見せたいのかはっきりせず、おまけに石本がやたら芝居がかったキレぶりを強調するために物語は迷走する。


◆以下 結末に触れています◆


豊と段野の過去の因縁、豊が殺人を犯した理由など思い出話は情感たっぷりに語られ、殺伐とした現在と色分けしているが、演出に工夫があるのはそのあたりだけ。司やヒロといった他の不良グループのリーダーは全然強くないし、何にしに出てきたのか不明。最初から豊を中心にした構成にすれば、段野や石本といった登場人物のキャラクターも生きてきたはずだ。。。