こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

赤ずきん

otello2011-06-17

赤ずきん RED RIDING HOOD

ポイント ★★
監督 キャサリン・ハードウィック
出演 アマンダ・セイフライド/ゲイリー・オールドマン/ヴァージニア・マドセン/シャイロー・フェルナンデス/マックス・アイアンズ/ジュリー・クリスティ
ナンバー 145
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


森や草原で共に過ごした幼い日々は遠く過ぎ去り、ヒロインはたくましく成長した青年と恋に落ちる。しかしそれは母が決めた結婚に背く許されざる行為。ふたりは自分たちの未来をつかむために手に手を取りあって村を出る。そんな導入部は彼らを待ち受ける波乱の人生を予感させ大いに期待を抱かせる。ところが、彼女の姉の死で駆け落ち計画はあっさり中止、その後は人間対人狼のぬる〜い闘いに終始する。だが、人狼の造形がいかにも安っぽく見える上に、時折挿入される“怪物目線”のショットは思わせぶりなだけで伏線として機能していない。ホラーの要素を残した純愛という「トワイライト」路線を狙ったのかもしれないが、結果的に中途半端な印象しか残らなかった。


ヴァレリーはピーターと共に故郷の村から逃げようとするが、姉が狼に殺されたため村に戻る。村人たちは人狼の仕業と断定、山狩りを行う一方で、人狼ハンターのソロモン神父が村にやってくる。


時代は中世、因習がまだ色濃く残る人里離れた山奥の村、女の権利が制限され、出過ぎたまねはできないことは分かる。だからなのか、ヴァレリーに運命を切り開いていくほどの熱い決意があるわけでもなく、両親の秘密を知っても大きく目を見開いて驚きを表現するのみ。むしろ、胸の奥深くにしまった真実を隠し続けてきた両親の苦悩や葛藤のほうがドラマとしては面白かったのではないだろうか。


◆以下 結末に触れています◆


ソロモンは、人狼が村人の中に潜み人間の姿をして暮らしていると推理し、村中を徹底的に探しまわる。村人同士が密告しあい、ヴァレリーにも魔女の疑いがかけられたりする。そしてヴァレリーと人狼の意外な関係が明らかにされるが、そのシーンでもできの悪いヴィジュアルのせいで、もはや人狼がなにを口にしても驚かない。人狼の腹に石を詰め込んで縫い合わせて川に捨てる、元ネタのパクリは笑えたが。。。