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映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アンダルシア 女神の報復

otello2011-06-29

アンダルシア 女神の報復


ポイント ★★
監督 西谷弘
出演 織田裕二/黒木メイサ/伊藤英明/戸田恵梨香/ 谷原章介
ナンバー 155
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


スキーリゾートのホテルに残された日本人の死体に巨悪の臭いを感じ取った3人の男女。外交官は真実を暴こうとし、銀行員はもみ消そうとし、警察官は適当な落とし所を探ろうとする。パリ、アンドラバルセロナ、アンダルシア・・・物語は舞台は南欧を転々とし、事件は壮大な国際犯罪に結びついていく。ところが、屋上屋を重ねた構成はどこかちぐはぐで、主人公が謎をひとつずつ解決して核心に迫る過程もぎこちない。そういった脚本の欠点もスピーディに展開させればごまかせるのだが、結局話がもたついてエピソードが間延びしてしまっている。唯一、断崖の上に建築されたロンダの街と中心部に架かる巨大な石橋の俯瞰だけは目を見張ったが。


アンドラで日本人が銃殺、現場に急行した黒田はインターポールの神足に門前払いされる。その夜、第一発見者の地元銀行員・結花が賊に襲われたところを黒田が救出、結花の身柄をバルセロナの日本領事館に預ける。


死んだ日本人は投資詐欺で100億円の損を出し自殺したとみられるが、警視総監の息子ということで単なる強盗殺人として片付けろと神足は指示されている。一方、命を狙われている結花は警察に保護を求めても何か秘密を隠していそう。そのあたり、大掛かりな犯罪組織が背後で糸をひいているような不気味さを漂わせ、後半に興味をつなぐ。中でも3人が銃撃戦に巻き込まれ、応戦した神足がうろたえるシーンが印象的。修羅場を踏んでいない頭でっかちのエリートのひ弱さがリアルだった。


◆以下 結末に触れています◆


やがて、マネーロンダリングを目論む銀行幹部が国際テロ集団と面談する情報を入手した黒田・神足・結花はアンダルシアに向かう。3人の思惑は複雑に交錯し、それぞれが自分のため、組織のため、国益のために行動する。クライマックスは二転三転、もちろんアッと驚く結末が用意されているが、どちらかといえば赤ワインのトリックはミエミエだったし、ルカスというキーパーソンのあまりの無防備さにも呆れるばかりだった。。。