こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ラスト・エクソシズム

otello2011-07-07

ラスト・エクソシズム THE LAST EXORCISM


ポイント ★★*
監督 ダニエル・スタム
出演 パトリック・ファビアン/アシュリー・ベル/アイリス・バー/ルイス・ハーサム/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
ナンバー 152
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


悪魔などいないとカメラの前で断言するエクソシスト。悪魔払いを必要としている人のために実在するフリをするが、実際は巧妙に仕掛けられた効果音や十字架から出る煙など、すべてがトリックであると種を明かす。映画はエクソシズムの安易な流行に危惧を覚える聖職者が、インチキのからくりを自ら暴露し、その過程を記録するカメラマンを従えて悪魔払いを行ううちに、衝撃の真実に出会うまでを追う。ドキュメンタリー風の長いカットは緊張感に満ち溢れ、次に何が飛び出すかわからない意外性と迫真のリアリティに背筋が凍るよう。この手法もいささか飽きたが、低予算で作れるがゆえにまだまだ表現の可能性を秘めているようだ。


これまで何度も悪魔払いを成功させてきたカリスマ的人気のコットン牧師は、欺瞞に耐えられずエクソシズムの嘘を公表する決意をし、悪魔払いにカメラクルーを同行させる。悪魔が憑依した少女・ネルに儀式を施すが、夜になってコットンたちのモーテルにネルが忍び込んでいた。


コットンはネルの徘徊をあくまで心理的なものと断定、医師に見せようとする。その後もネルの奇異な行動に悩まされながらも、一方で彼女が妊娠していることをコットンは知る。彼はネルの父・ルイスに疑いの目を向けるが、ルイスはもちろん断固として近親相姦を否定する。さらに兄のケイレブもどこか怪しい。もはや悪魔の存在自体よりも、この家と家族の心に潜む悪意のほうが恐ろしく思えてくる。


◆以下 結末に触れています◆


命の危険を感じたカメラクルーたちは怖気づくが、コットンは最後まで顛末を見届けようとする。彼らは森の奥で予想もしなかった結末を目撃し体験するが、ここにきて、なぜコットンたちは呼ばれたのかが疑問になってくる。人目を忍ぶカルト教団がよそ者の訪問を喜ぶはずもなく、ならばルイスがコットンに手紙を書いて呼び寄せた理由は何なのか。最初から生贄にするつもりだったとは思えないのだが。。。