こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スマーフ

otello2011-08-25

スマーフ THE SMURFS

ポイント ★★*
監督 ラージャ・ゴスネル
出演
ナンバー 195
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


スクリーンからモノが飛び出したり遠近感を強調した深い奥行きより、後頭部から水しぶきが降りかかってくるような映像は、まるで映画の中にいるリアルな感覚。妖精たちが滝にできたワームホールに落ちる場面での、彼らが味わうスリルとスピードを3Dで体感させる試みは大成功、テーマパークの体験型アトラクションに乗っている気分にさせてくれる。青く小さな妖精たちが現代NYにスリップ、彼らの身柄を狙う魔法使いに追われるという展開のなか、せっかく人間の協力者と出会ったのに、迷惑を顧みず好奇心のおもむくままに遠慮なく歌い遊ぶ彼らの姿が愉快だ。


森の奥で平和に暮らすスマーフの村に魔法使い・ガーガメルが乱入、6人のスマーフたちが逃げる途中滝にできたトンネルに吸い込まれてセントラルパークに放り出される。そこで仲間の一人が宣伝マンのパトリックの荷物に紛れ込み、残りのメンバーもパトリックのアパートに潜入する。


NYの繁華街を興味津々で探検するスマーフたちは、いわば典型的な“おのぼりさん”。今までに見たことも聞いたこともない摩天楼や自動車、そして人の多さに驚きつつも新しい見聞を楽しんでいる。ガーガメルもハンズフリーフォンで話しながら歩くニューヨーカーに目を丸くし、彼自身と外見が似たホームレスに共感を覚えたりする。さらに、コスメ会社社長の母を魔法で若返らせるなど、欲望にまみれた大都会の描写が鮮やかだ。


◆以下 結末に触れています◆


コスメ会社に勤めるパトリックは新製品のプロモーションを任されるが、なかなかアイデアが浮かばない。スマーフたちの話に閃いて「ブルームーン」をモチーフにデザインするが、直前に無難な選択に差し替える。ところがスマーフのミスで「ブルームーン」が街頭に出回ってしまい、窮地に立たされる。だが、何事にも自分を信じ仲間を見捨てないスマーフたちと交流するうちに、パトリックもまた己の直感に従う大切さを学んでいく。彼の願いとともに夜空に浮かんだ満月に魔法がかかっていくシーンが幻想的で美しかった。