こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

DOG×POLICE 純白の絆

otello2011-10-05

DOG×POLICE 純白の絆

ポイント ★★
監督 七高剛
出演 市原隼人/戸田恵梨香/時任三郎/村上淳/カンニング竹山/阿部進之介
ナンバー 237
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


わずかな火薬のにおいをかぎ分け、怪しい人物には容赦なく飛びかかる。いまやテロリスト対策に欠かせない存在となった警備犬。映画は、正義感ゆえについ暴走する若き警官と劣性遺伝で体力の劣る警備犬の関係を通じ、本当の仲間とは、信頼とは何かを問うていく。一方で人間と犬、規格に馴染まない者同士が固い絆で結ばれる中で強力な化学反応を起こしていく姿が楽しめる。警備犬訓練所という、ほとんどスポットが当たらない警察組織が新鮮だ。それにしても登場する犬たちの知能の高さには驚かされる。少なくともすぐに頭に血が上る主人公よりは賢く見えた。


警備犬を訓練するセクションに異動になった早川は、警視庁内で“イヌ屋”と呼ばれるほど同僚から見下されている部署に気が乗らない。ある日、自分が出産に立ち会い命を吹き込んだアルビノ犬・シロをバディにあてがわれる。


要人が現れる公の場所を予め警官と警備犬が哨戒する様子はニュースなどでよく見かけるが、派手な活躍もなく、その内実はほとんど知られていない。精悍な顔つきのジャーマンシェパードたちが訓練士によってさまざまな技を体得していく場面では、もちろんそれなりの厳しさはあるのだが、人間同士のしがらみよりも犬が主役だけにどこか牧歌的な雰囲気が漂う。そして「“イヌ屋”なんて」と思っていた早川がいつしかシロとの任務に誇りを覚えていく過程が“職業とはなにか”という問いかけになっていて、彼らを通して与えられた仕事をきちんとこなすことの大切さを教えてくれる。


◆以下 結末に触れています◆


並行して連続爆弾テロが発生、早川が犯人を目撃したにもかかわらず取り逃がす失態を演じたため、警察と警備犬チームに対する風当たりが強くなる。その後、犯人からの予告爆発に備えて早川らは出動、シロの驚異的な嗅覚で爆弾のありかを突き止める。だが、そのあたりの展開が非常に稚拙で、市原隼人やシロの魅力を引き出しているとは言い難い。もう少し、警察と犯人側の知恵比べとそこに警備犬がどうかかわるかを煮詰めたストーリーにしてほしかった。