こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

カウボーイ&エイリアン

otello2011-10-07

カウボーイ&エイリアン COWBOYS & ALIENS

ポイント ★★*
監督 ジョン・ファヴロー
出演 ダニエル・クレイグ/ハリソン・フォード/オリヴィア・ワイルド/サム・ロックウェル
ナンバー 220
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


銃口を向けられても表情一つ変えないお尋ね者、カネと暴力で住民を支配する家畜業者、白人とは微妙な緊張関係にあるインディアン。荒野にポツンと残された小さな町で繰り広げられる小競り合いと撃ち合いは、全盛期の西部劇をしのぐエネルギーとスタイルを備えている。そしてエイリアンが現れた時、さまざまな思いを抱えた人間たちは憎しみや禍根を忘れ、力を合わせて闘おうとする。映画は、南北戦争後の、科学や未来に希望を抱いていた開拓時代の米国の街がエイリアンに攻撃される設定の下、異なる考え方の者同士でも結束できることを描く。


荒野で目覚めたジェイクは酒場でトラブルに巻き込まれ逮捕されるが、移送の途中、町がUFOの襲撃を受け住人が連れ去られる。町のボス・ダラーハイドは自警団を組織し、撃墜されたエイリアンの後を追う。


はずれない腕輪、戻らない記憶、だが圧倒的な格闘能力と射撃の腕を持っている。このジェイクは何者なのかという興味は物語の新たな進化を予感させる。そこにいかにも権力に憑りつかれた雰囲気を漂わせたダラーハイドと、謎の美女・エラまで絡み、前半は予想外の展開の連続にわくわくさせられる。さらに、地球に来た目的が人類との友好ではないのが明白な凶悪な外見をしたエイリアンを登場させ、当時の人々はどんな戦術をとるのか関心を引かれた。


◆以下 結末に触れています◆


自警団は銃とナイフとダイナマイト、インディアンは弓矢、ジェイクのみがエイリアンから奪った高性能攻撃用腕輪で武装している。一方のエイリアンは卓越した運動能力で人間を襲い腕力もしくは噛みついて倒していく。宇宙を旅する科学力があるならもっと洗練された武器があるはずだが、ヤツらは下っ端の使い捨て戦闘員だったのだろうか。いずれにせよ、共通の外敵を作って内部のもめ事を忘れさせ一致団結させるのは、権力者の常套手段。この作品を見ていると、米国はまだ懲りずに“民主主義の敵”を探している気がする。それがエイリアンのような侵略者なら理解できるが。。。